ずるずると14年も続けてきたオークション生活がどーにもこーにも立ち行かなくなって、
44歳にして初めての就職活動を経て、今週からリーマンとして働いております。
とはいっても、正社員じゃなくて派遣社員だけど。
正社員登用を目指して、とりあえず真面目に頑張りますです。はい。
でね、仕事を探すにあたって、当初は近所のハローワークに通ってたのね。
平日は毎日、ランチのついでにハロワに寄る、ってのを日課にして(気楽だな、おい)。
そうした中で、ハロワと行政に対して感じた疑問の話。
まず、ハロワでの職探しってのはこんな流れ。
1) まず受付に申し出て、ずらっと並んだ求人検索専用の端末を使って求人情報を探す。
2) 気に入った求人があればプリントアウトして、担当の職員に渡す。
3) 職員がその場で求人先に電話して、応募の可否を聞いてくれる。
4) 無事に応募可能ということになれば、ハロワが発行する紹介状をもらう。
5) 帰宅して履歴書と職務経歴書を書いて、紹介状とともに求人先に郵送。
6) 数日後、応募書類を受け取った求人先から面接日の連絡がある。
…ま、こんな上手い具合に進むことなんてありえないんですな、特に三十代以上にとっては。
もうね、数週間ハロワに通って、全然仕事決まんないの。 笑っちゃうほどダメでやんの。
ちなみにここで言うダメってのは、そもそも面接すらしてもらえない状態ね。
人当たりはいい方なんで、面接までいけば口八丁手八丁でどうにかなるっしょ、と根拠のない自信はあって。
だけどハロワからの紹介だと面接までいけない。
求人はそれなりにあって、応募も自由にできるのね。
上記のフローで言うと、1~5はできる。けれど、6がない。
電話連絡もなく、応募した書類一式が不採用通知とともに返送されてくる。その繰り返し。
で、44歳のおっさんだし、大学は中退だし、職歴もバイトばっかだし、包茎手術もしたし(それは関係ない)、
「そっか、オレなんてどこにも必要とされてないのか…」と落ち込んだりもしましたよ、そりゃ。
超ポジティブで脳天気なオレですらそうだったんだから、
ネガティブ体質の人だったらどこまで落ちることか…。
けどね、これは現在ハロワで辛酸をなめてる大勢の求職者にも伝えたいんだけど、
その無力感や敗北感の原因って、決して「不採用が続くから」じゃなく、
「労力が報われないから」「全部無駄になったから」なのね。
つまり、無力感や敗北感と思ってるその感情の正体は、実は徒労感や脱力感なわけ。
職探しを宝探しに例えるとわかりやすいかもしんない。
ある冒険家が、どこかの山の頂にある宝を探してる、と。
その山の名前はわからないし、どこにあるかもわからない。
宝の有無は山頂まで登らないとわからない。
で、冒険者がその旨を伝えた際、ハロワというガイドは標高2000m級の山を100山紹介しやがるわけ。
宝がある山はひとつ。言い換えると99の山は登っても無駄。
そのひとつに巡り会うため、冒険者は紹介された100山を順々に巡り、登る羽目になる。
この山も違う、この山も違う。次第に疲れもたまり、もはや前に進めなくなってくる。
冒険者は「宝が見つからない。もう無理だ。オレなんて…」と無力感に苛まされる。
…ん? いや、そこで無力感を感じるのは違うでしょ?
それってハロワが100山も紹介しやがったことによって生じた徒労感でしょ?
毎度毎度2000mも登ってるのに、山頂で感じる「今回も違った…」って脱力感でしょ?
そもそも標高500m級の山を10山紹介してくれてたら、そんな徒労感を感じる必要もなかったんじゃないの?
要は、なかなか就職が決まらないって無力感は「自分のせい」ではなく、
(まあ中には明らかにその人に問題ありってケースもあるけど…)
なかなか就職を決まらせない「ハロワや行政のシステムのせい」なんだよな。
…と、ここからが本題だけど(相変わらず前フリが長い)、
仕事を探すにあたって、もっとも厄介なのが雇用均等法の弊害なんですな。
企業は雇用の際に男女で差別しちゃいけない、年齢によって採用不採用を決めちゃいけない、と。
そんな求職者の味方となるべく制定された男女雇用機会均等法・雇用対策法だけど、
完璧にオレらの職探しを阻害する結果になっちゃってんのな。
つまり、企業は求人の際、対象者の性別、年齢を明記できないわけよ。
昔のように「事務員募集 22〜25歳の女性 大卒以上」なんてことが書けない。
この例なら「事務員募集 大卒以上」しか書いちゃいけないことになってて。
ここがハロワ第一のトラップ。
求人を見て「自分もいけるかな」なんて男や中年女性が応募するでしょ。
でも実際、法律が変わっても企業が欲する人材が変わるわけないじゃん。
単に公に書けなくなったってだけで、欲しい人材は「20〜25歳の女性」のままに決まってるでしょ。
で、その求人を印刷して担当者に差し出すと企業に電話して応募の可否を聞いてくれる。
ここ、ハロワ第二のトラップ。
そりゃ企業は言いますよ、大歓迎ですよって。どうぞ応募してくれって。
だって男女・年齢の雇用機会均等が法律で謳われてて、ハロワは行政機関なんだもの。
でも普通に考えりゃ「22〜25歳の女性」を欲してる会社が「44歳のおっさん」を採るわきゃねーのよ。
だから応募した男や中年女性はあっけなく落とされるわけだ。
具体的には、応募した書類一式が読まれることすらなく返送されてくる。
この「無理なのに応募する」ってことの徒労感がハンパない。
まずその求人を見つけたときの高揚感ね。
「未経験OKの事務職で月収20万かー、いいじゃん」なんて、
自分がターゲットに入ってないことにも気付かずに浮かれちゃって。
次に履歴書と職務経歴書に取られる無駄な時間ったらもう。
履歴書って日本では今だに手書きがスタンダードだったりするじゃん。
学歴や職歴を丁寧に書いたら30分から1時間はかかるよね。
ちなみに手書きの理由は字から人柄が伝わるから、だって。バカじゃねーの。
字の上手い詐欺師や犯罪者なんて腐るほどいるっつーの。
さらに職務経歴書にいたっては応募する企業によってアピールポイントが変わってくるでしょ。
こっちはPCで書いて印刷すればいいから手書きの手間はないものの、
真面目に熟考して推敲すると、一社につき2〜3時間ほどかかったりもして。
で、添え状も作って封筒に収めて、送料が140円ほどかかって。
ついでに言うと、履歴書やクリアファイル、封筒だってタダじゃないからね。
そして企業から連絡が来るまで(長いところだと二週間ほど)ワクワクドキドキしながら待って。
これらの労力や費用、時間が、履歴書の年齢と性別を見られた途端、一瞬で全部無駄になるんだよね。
だったら雇用均等法なんていらねーよ、と思うんだよな。
行政は「性別・年齢による就職差別をなくすべき」という見解を出してくれるのはいいとしても、
法律として明記したらこっちにツケが回ってくることを全然理解してくれてない。
はっきりと対象年齢や性別を書いててくれた方がどれだけ救われるか。
企業によっては「35歳以下(将来的な育成のため)」とか、
「短大卒以上」(暗に女性募集と伝えてる)とか、
「20〜30代が大勢働いている職場です」とか、
雇用均等法を犯さない範囲でこっそりターゲット層を伝えてくれてたりもするんだけど、
そっちの方がよっぽど良心的に思えるんだよな。求職者の立場から見れば。
つづく。