2014年11月4日

営業コンサルというお仕事。 【後編】

でね、言葉を失ってる場合じゃないと我に返って、勇気を出して言い返しましたよ。
「あのー、営業の仕事と伺ってたんですが…」
「ああ、営業の仕事もありますよ。そっちがいいですか?」
そっちがいいですか、じゃねーだろ! はじめからそっちだよ!
「様々なお店にソフトバンクのWi-Fiを設置して、お父さんステッカーを貼っていく営業です」
それ…営業? 作業員じゃなくて?
いや、確かにそういう営業の人もいるんだろうけど、なんか違うんだよなあ…。
それが「面白いアイデアで『あっ』と言われる企画を考えるお仕事」?

で、「こっちの方がおすすめですけどね」と話を無理矢理販売に戻され、
また大手家電量販店や大手スーパーで云々の説明が始まったんだけど、
ふと例の事業所のことを思い出したから聞いてみたのね。
「事業所が近所ということもあって応募したんですが、ということは、事業所勤務ではないんですね?」
「えーと? …ああ、あそこ? あの部屋はもうとっくに引き払いました」
ガーン! 堂々とハロワに虚偽の所在地記載! 平然と違法行為!

その中本(仮名)、オレの履歴書をしげしげと眺めてたかと思うと、
「へえ、14年もオークションやってたんですか?」と聞いてくる。
「ええ、まあ」と返すと、「そのノウハウ、当社にほしいですね」とニヤリ。
なんでも、他社との繋がりで「商材」は安価で仕入れることができる環境にはあるものの、
それをネットで売るノウハウがないから、どうしようかと思いあぐねていたところだ、と。
別にオレ、特別なノウハウなんて持ってないんだけど、話は勝手に進んでいって。
「そうだな…それではネット物販部門を作りましょう。あなたが責任者になってください」
初対面のオレがいきなり責任者に…? まだ会って5分も経ってないけど?
「とりあえず当面は営業コンサルと同時進行で進めてみてください」
同時進行って? 8時間ヤマダ電機で働いた後、6時間この部屋で作業、みたいな? 殺す気?
「うーん、これは結構なドル箱部門になるかもしれませんね。一緒に頑張りましょう」
…ジョン・レノンがイマジンで歌った「夢想家」ってこいつのこと?

オレ的にはまったくビジョンが見えないんだけど、
どうも中本には見えてるようなんだよな、勝利の方程式が。

念のため再度書いておくと、オレは履歴書を持参してこの面接に来たわけ。
中本はオレと会って、履歴書を受け取って、読んで、
そこで初めて、オレが今までオークションをやっていた、と知ったわけ。
つまり、このネット物販部門の下りは、全部その場の「思いつき」なんだよな。
この薄っぺらさがすごい。何もかもが適当なの。

でも、まあ確かにその「商材」とやらがオレの想像を超えるすごいものだったら、
中本から湧き出る自信の理由もわからなくもない。
例えば、問屋を通さずバンダイと直取引で、妖怪メダルが卸価格で大量に手に入るとか、
中国の工場からの裏ルートで、MacBookの次期バージョンの試作品を入手できるとか。

「肝心の『商材』なんですが、これは出品さえすれば確実に売れますから。
 というのも、とにかく安く仕入れることが可能なんですよ、独自のルートで。
 だから競合他社より安く出品すれば、もう一人勝ち状態ですよ。
 例えばサードパーティー製のプリンターインクとかね。
 USBメモリやMicroSDカードなんかも安く仕入れられますし、
 今どきのものだと、スマホ用の保護フィルムなんてのもありますしね」

…それ、全部1円で出品されてるよ! 不人気商材大集合!
この商材のどこにドル箱を見いだしたのか…こいつに市場調査という概念は?
ここまで書いてふと思ったんだけど、こいつの言う「独自のルート」って、
もしかして単なる家電量販店のワゴンセールでは? いや、まさか…まさかな…。

「ネット物販部門のライバルはアクセルということになりますね。知ってますよね、アクセル」
「アクセル? いえ、不勉強で申し訳ありません。初耳です」
「知らないんですか? オフィスで使われるこういった事務用品などを扱っている…」
…それ、アスクル! 逆に社会人でアスクルを知らないのはおまえだけ!
つーか、たかだかプリンターインクやUSBメモリ、保護フィルムを扱うだけで、
資本金200億の大企業をライバルだと思える、その根性だけは見上げたもんだが…。

ここで話は「営業コンサル」に戻り、求人票に書かれてた条件の確認へ。
「服装自由」に関しては、店の制服を着るから、ということらしい。
「自由っていったいなんだい?」と歌ったのは尾崎豊だったっけ…。
「土日祝(完全週休二日制)」に関しては、勤務する店による、とのこと。
ヤマダ電機やイオンが土日休みのわけねーだろ!
条件があっけなく次々と反故にされていく…。もう嫌…。

そんな中本が、最後に「営業コンサルの極意」を教えてくれた。
こうすれば勝手に商品は売れるという、本当なら販売職必見の情報だけど…。
「商品に対する知識なんて不要なんです」
むむ、斬新だ。
客に商品説明を求められたらどうするの?という疑問はさておき、斬新だ。
その奇妙な持論に含まれる真意とは?

「もし、あなたがバームクーヘンを売るとしましょう。
 そのバームクーヘン会社の社長の気持ちになれば、
 あなたが実はバームクーヘンが嫌いだとしても…そんなこと言えないですよね。
 むしろそのバームクーヘンの素晴らしさを喧伝して、
 より多くの人に食べてほしいと思うはずでしょう。
 その会社の社長の気持ちになれば、心が熱くなれば、勝手に売れるんです。
 商品の知識なんてなくても構わないんです」

………チンプンカンプン!
いや、言ってる内容の無茶苦茶さ、荒唐無稽さ、
「社長の気持ちになれば売れる」という薄っぺらさを差し引いても、
そもそも…なんだ、その例え?
「もしあなたが飲食店のオーナーで」とかならまだしも、
そこであえてバームクーヘンという、よくわからないキーワード。
これが示すただひとつの答えは…そう。
…オレ、路上でバームクーヘンを売らされる! 街で最近よく見かけるリヤカーのアレ!

もちろん帰宅後、即辞退の電話ですよ。
ま、本当は入室後2分ほどで辞退は決めてたんだけど。
「そうですか、しょうがないですね。ではネット物販部門はどうしますか?」
…やるわきゃねーだろ、バカ!

2014年11月2日

営業コンサルというお仕事。 【前編】

まだまだ続くよ、就職話。

ハロワでの職探しの際、えらい目に遭ったと以前書いたけど、
正社員で企画営業の求人があったのね。
もちろんオレ、企画も営業もやったことないけど、
未経験者歓迎って書いてあるの。
てことは、ははーん、アレですか、と。
またもや新卒~20代希望で、おっさんは除外の、あのパターンですか、と。
でも懲りずに、一応担当者に応募したい旨を告げ、電話で応募の可否を聞いてもらったのね。
「未経験の44歳男性が希望しておられますが応募してもいいですか」って。
ま、無理だよね。いつものターゲットの壁に阻まれるよね。
そしたら向こうの採用担当者は「明日、履歴書を持って面接に来れますか?」なんて言うわけ。
ネット応募以上の超スピード面接!
他の人はこんな経験あんのかね? オレは後にも先にもこれ一回きりだわ。
こっちも早く仕事始めたいから「だ、大丈夫です」なんて答えると、
伝えられた面接場所が、ハロワに登録されてる事業所の所在地と違うのね。
ま、それはよくあることだから了承して、紹介状をもらって帰宅して。

ここでその求人を簡単にまとめておくと、こんな感じ。

<職種>
企画営業

<仕事内容>
あなたには当社が扱っている商材の販売促進案を企画してもらいます。
面白いアイデアで『あっ』と言われる企画を考えるお仕事です。

<事業所所在地>
うちから自転車で10分ほどの場所

<条件>
服装自由

<休日>
土日祝(完全週休二日制)

なかなかの好条件でしょ。
仕事内容はなんだか面白そうだし、通勤も楽々。
何より服装自由ってのがうれしいし、土日祝休みもありがたい。

で、帰宅してから慌てて履歴書を書きつつ、
Googleマップのストリートビューで面接場所の確認をすると、なかなかキナ臭いビルが現れて。
年期が入ったビルの一階には焼鳥屋が入ってて、窓の貼り紙を見るとサラ金業者の入居が目立つ、
犯人の潜伏先として刑事ドラマに出てきそうな、「ザ・雑居ビル」って怪しい雰囲気。

ま、ここで働くわけじゃないから、あくまで面接場所だから、と自分を納得させて、
翌日、スーツに着替えて結構遠い面接場所まで向かったのな。
まずビルに入ると、ストリートビューではわからなかった点が目に付く。
…天井、ひくっ! 圧迫感、すごっ! これ、背伸びしたら頭が天井に届くんじゃないの?
ドアをノックし、「面接に参りました」とドアを開けると…なんだこの部屋は?
部屋、せまっ! 八畳ほどの何もない…本当に何もない部屋!
がらんとした部屋の隅にオフィステーブルが置いてあって、
その上にはPCが一台だけ。他には何もない。書類なんかも一切ない。
そして壁を見ると、これまた何もない。
書類棚やホワイトボード、コピー機のような、本来オフィスに置かれているべきものが何もない。
ただ、床にダンボールが数個転がってるだけ。
つまりね、イメージしてもらえばわかりやすいのは、夜逃げ跡のオフィスね。

そんな部屋にいたのは、唯一置かれたPCを操作してる男の人が一人だけ。
PCを操作、といってもExcelとかじゃなく、ネットをぼーっと眺めてたっぽい感じで。
その人がすくっと立ち上がり、「本日面接をします中本(仮名)です」と。

もうね、この時点で帰りたくてしょうがないですよ。
頭の中では本能が「DANGER!DANGER!」と警報を鳴らしてますよ。

しかし、今回オレが希望してるのは「バイト」じゃなく「就職」なのね。
これまでの生半可な気持ちで面接に来たわけじゃなく、第二の人生を掴みに来たわけよ。
就職への固い決意や覚悟といったものが、後ずさりするオレの足を前へと押し戻すわけよ。
この程度の雰囲気に負けるなと。仕事自体は悪くないかもしれないじゃないかと。
入社してもここで働くわけじゃないし、晴れて事業所勤務になった後は、
「しかしあの面接場所、酷かったですよねー」なんて笑い話になるじゃないかと。

そんなオレの「やる気」を察して、中本が仕事についての説明を始めたわけですよ。

「当社は多くの店舗と契約を結び、店舗にコンサルを派遣しています。
 店舗というのは、大手家電量販店や大手スーパーなど様々です。
 あなたにはコンサル、つまり契約店舗で働いてらっしゃる方々の手本となるべく、
 そこで営業をして、商品を率先して売っていただきます。
 つまり、あなたの肩書きは『営業コンサル』ということになります」

……?
………??
…………なんじゃこりゃ~~~!!

もうどこからツッコんでいいものかすらもわかんない!
「企画」はどこに?? 何をもって「営業」?? 「コンサル」の概念って??
それってつまりアレでしょ、イオンの試食販売コーナーとかヤマダ電機で見かける人…。
それは営業コンサルではなく「派遣の販売員」と呼ぶのでは…?

というか、だ。
そもそも「企画営業」を募集しておいて、面接に来た相手に向かって、
「あなたの肩書きは営業コンサルです」って、…クレイジーすぎない?
デザイナーを募集して、面接に来た人に対して、
「当社の仕事は…(中略)…つまり、あなたの肩書きはラーメン屋です」ってのと同じだよ?

いやね、オレだって今までに様々なインチキ求人を見てきたから、
ある程度の悪い予想はして挑んだんだけどね。
いいことばっか書いてるけど、実はああなんじゃないか、こうなんじゃないか、って。
その予想を大きく上回るハチャメチャさ! 降参!

この話、つづく。

2014年10月27日

セキュリティとバランス。

先日書いたように、44歳にしてついに就職童貞を破ったですよ。
絶対にリーマンになんてなるもんか、と鉄の貞操帯を付けていたこのオレが、
貧乏という性欲に負け、
スーツというコンドームを身に纏い、
企業という膣に向かって突進し、
労働という摩擦を経て、
給料というエクスタシーを得、
所得税という精液を放出し、

…あ、この例え、もういいスか。そうスか。
(この下り、声に出して綾小路きみまろ調に読んでネ☆)

つーかね、派遣社員なんで、いきなり大企業勤務ですわ。
そこでユーザーサポートに就くため、現在研修中の身なんですが、
どうしてあんなにアホなのかね、最近のセキュリティ管理ってやつは。

彼女も先月、勤めていた会社が吸収合併されたところでね、
今まで昔気質の会社でユルく働いてたのに、
いきなり今どきのセキュリティ管理下に置かれて、
会社に入るカードキーの都合上、休日出勤の手続きが面倒だの、
帰宅時にノートPCは引き出しにしまうよう指示をされただの、
アホくさ、という事例を聞かされていたものの、
まさかその翌月、オレも同じ境遇に陥るとは思わなかった。

入社してからずっと研修でね、派遣先の会社が扱ってる商品の勉強をするわけよ。
その研修テキストを「社外秘だから持ち出し禁止」というのは、まあわかる。
で、勉強するわけだからノートにメモ取るでしょ。
そのノートも持ち出し禁止というのも…うん、まだわかる。納得はできないけど。
次に商品に付属する取扱説明書のコピーを配布されて、
商品の使用方法をユーザー目線で学んでたわけ。
このボタンを押せばこんな動作をしますよ、みたいな。
そしたら研修途中に言われたですよ。

「あ、このコピーも持ち出し禁止ですから」

…はぁ !? どういうこと !?
取扱説明書よ? それって商品を買った人ならみんな持ってるものでしょ?
つまり一般的に流通してるものでも持ち出し禁止? しかもコピーなのに? 意味がわからない!

まあ、この研修のトレーナーがバカというよりも、
この人は会社のバカなセキュリティ管理要項に従ってるだけなんだろうけど、
とにかく非核三原則よろしく、持ち帰らせない、勉強させない、育てない、ですよ。
こっちはさ、就職したばかりでやる気スイッチも満充電の状態だから、
帰ってからも復習して、早く知識を身につけたいと真面目に考えてるわけ。
社員の成長。それって会社の利益でしょ。
その利益を捨てて、セキュリティを取る、と。
そりゃね、この情報漏洩が多発している現代社会、
自社のセキュリティに危機意識を持つのは理解できる。
でも、それって資料や情報の重要度によるでしょ?
オレは研修中で、たかだか「その商品の概要」程度のことしか知らされてないわけ。
つーか、そこで知った専門用語をググったら…ネットで普通に出てきたよ!
その程度の知識を拡散されたところで被害なんてないだろうし、
もしオレが企業スパイなら、学んだ内容を口頭で伝えれば充分だしさ。もうすでに遅いっての。
こんなセキュリティ管理、なんの意味があるの?

あのね、すべてはバランスなのね。
入室のセキュリティを万全にしたいなら、鍵を100個付ければいいじゃん。
でも付けないよね。鍵を開けるのに何時間もロスするから。
かといって鍵を付けないのはおかしいよね。それだと泥棒や企業スパイに入られちゃうから。
じゃあ鍵をひとつ付けよう、と。
それだとセキュリティも適度に守られて、利便性も適度に保たれる、と。

本来、セキュリティってそういうバランスで成り立ってたはずが、
どこかのバカが「海外ではこれが常識だ」とばかりに過剰なセキュリティ意識を説き始め、
これまたどこかのバカが「当社も乗り遅れちゃいけない」と追っかけて、
今のようなセキュリティ最重要主義がまかり通ってるわけですよ。
セキュリティ管理のために、利益や利便性を捨てる羽目に陥ってるわけですよ。
彼女の例にしたってそうで、こっちは会社のために休日出勤をしてまで貢献してやろうと言ってるの。
なのに、セキュリティがその邪魔をするって、いったいどうなってんの。

一昔前、それこそカードキーなんてメジャーじゃなかったころは、
出社と帰社のときにしか部屋に鍵なんてかけなかった会社、部署もたくさんあって。
ノートPCや資料、データも持ち出し放題で、うちに帰って仕事の続きをしたり、
繁忙期は会社に無断で友人を連れ込んで、バイトとして手伝わせたりとかね。

振り返ると非常に危機管理意識がない悠長な時代で、
そのころに戻ろうとまでは言わないけど、言ってみれば「セキュリティ意識0時代」だよね。
で、今は「セキュリティ意識100時代」じゃん。
…いやね、オレが昨今のセキュリティ管理をバカだと感じるのはここですよ。
どうして0か100なの? どうしてその間がないの? バカなの? 死ぬの?
利便性と情報流出を天秤にかけりゃ、そりゃ後者の方が重いのはわかるけど、
だからといって利便性を丸ごと捨てるってのはバカのやることでしょ。

これって企業体質だけじゃなく、個人の事例にも見られることで、
砂糖は体に悪いから一切摂らないとか、子供にテレビは一切見せないとか、
癌治療は断固拒否するとか、イスラム教信者は全員危険思想の持ち主だと思っちゃうとか、
極端な悪例を見て、恐怖心からその対極に走っちゃう単純な人な。
オレはこういう二元論的バカたちを「デジタル脳」(0か1しかないから)と呼んで蔑んでんだけど、
そうして自分をがんじがらめにしちゃってるバカって相当数いるよね。

話が逸れた。
オレの場合だと、流出してもまったく問題のない資料に関しては持ち帰っても構わないだろうし、
それってオレが勉強したら会社の利益、情報漏洩してもリスクなんてない、
つまり「利益100、リスク0」のノーリスク・オールリターンな好案件でしょ。
それをも放棄しちゃうってのはなんなんだろうね。やっぱバカとしか思えんですよ。

…こんなことで憤ってるオレは、やっぱり就職するべきではなかったのか?

2014年10月20日

44歳の職探し・まとめ。

さて、結論から言うと職探しには求人情報サイトを使うべきなんだけど、
それは前々回に書いた「雇用均等法云々」前回に書いた「悪徳企業云々」とはまた違った理由なのね。

実は「求人を探す」にあたって、求人情報サイトのメリットってあんまりない。
求人情報サイトだってハロワと同じで、募集対象を女だとか何歳までとか明記できないのな。
そりゃそうだ、一応は雇用均等法に明記されてんだから。
ま、こっちは行政じゃなく民間だから、その辺は大らかな感じで、
画像で女ばかりの職場、もしくは男ばかりの職場ってのをアピールしたり、
過去の採用者の声として「26歳・女性」の声を載せたり、
ハロワよりは若干わかりやすくなってるものの、
それでも雇用均等法のせいで、企業のターゲット層がある程度見えないってのは同じで。

それに求人情報サイトだからって悪徳企業からの求人がないわけじゃない。つーか、かなりある。
個人的にはハロワよりはチェック機構が機能してるとは思うけど(あくまでもハロワよりは、ね)、
そもそもどこからどこまでが悪徳企業かって定義なんてないわけだから、
やっぱり胡散臭い求人やブラック企業の求人だってそれなりにある。
画像や文面からほのぼのとした社風が漂ってくる営業職の求人があって、
ググってみたら光通信の100%出資の子会社だったこともあったっけ(笑)。

というわけで、「求人を探す」という時点ではハロワも求人情報サイトも大して変わんない。
「雇用均等法云々」も「悪徳企業云々」も、ハロワとほとんど一緒なのよな。
ま、ネットを使ってググったり比較したりできるだけ有利かな、ってとこ。
ただ、「求人に応募する」時点で、求人情報サイトのメリットが見えてくる。
この応募に関してもハロワと同じで、誰でも自由に応募できるものの、
企業側が欲する「外側から見えないターゲット層」ってものがある以上は、
性別や年齢だけで不採用なんてことは多々あるわけで。
だったらハロワと一緒? 中年求職者はNO FUTURE?

さて、ここで改めて考えてみる。
もし企業のターゲット層にさえ入れば簡単に面接までいけるのかというと、
それでもやっぱ、なかなか面接には辿り着けないのよな。
そりゃ企業だって100人、200人と面接してる暇はないからさ、
だったら応募の際の経歴を見て、有望なやつだけを面接するわなと。

となると、求人に応募してから面接に至るまで、二つの壁があることに気付く。
まずは「どちらの性別を欲してるのか」「何歳までがオッケーなのか」という、見えないターゲットの壁。
そして、仮に企業が10人と面接するとして、「その10人に入れるか」という面接人数の壁。
もちろん採用までには「その10人の中でトップに立つ」って壁もあるわけだけど、
今回は面接に至るまでの話なので、採用されるかどうかはパス。

ここで手に職があったり経験があったりする人なら強いんだけど、
オレみたいなボンクラがこの二つの高い壁を越えようとするなら、答えはひとつ。
もう「数で勝負する」しかないわけだ。ライク・ザ・レミングス。

十社応募して、一社から面接の誘いが来ればラッキー、みたいな。
で、十社面接に行って、一社から採用をもらえればオッケー、みたいな。
つまりは一社からの採用のために百社応募しろと。それでダメなら二百社応募しろと。

この「数で勝負する」ってのをハロワで実行しようとするとえらいことになる。
履歴書で腱鞘炎確実だし、郵送代だって月に数万円かかっちゃう。
おそらく必死にやって、一日5件が限界じゃなかろうか。
これを何週間も続けると、精神崩壊必至だと思う。オレには絶対無理だ。

求人情報サイトはこの「数で勝負する」作戦に適してる。
というか、その作戦のために求人情報サイトが存在してる、と言っても過言じゃない。
とにかく応募までの手間が圧倒的に少ない。
ハロワのように、履歴書と職務経歴書を書いてから応募、じゃなくて、
応募しまくって、連絡があってから履歴書と職務経歴書を用意すればいいんだから。

まず最初だけは職務経歴や自己PRなんかを打ち込むって手間がかかるものの、
後は前回入力した情報が履歴として残ってるから、
志望理由あたりをちょっと書き換えるだけで応募できる。
実質10〜30分程度で1件、一日30件応募も難しくない。
同じ職種だと志望理由を書き換える必要もないから、
1時間で30件応募なんてことも可能じゃなかろうか。

郵送じゃないから、結果が出るのが早い、ってところも大きい。
ターゲット層に入ってたら「履歴書と職務経歴書送って」と連絡があるし、
そもそもターゲット層に入ってなかった場合はすぐに不採用通知が来るからね。
オレなんて応募した5分後に不採用ってメールが来たことあるもん(笑)。
ま、クールでありシビアであるけど、
ハロワでの「無駄」を考えるとよっぽどいい。少なくとも徒労感はない。

で、応募の際にある程度の経歴や自己PRなんかは連絡済みなわけだから、
「履歴書と職務経歴書送って」と連絡があった場合はほぼ面接まで行けるのな。
中には「履歴書と職務経歴書持ってきて」と、いきなり面接の連絡があったり。
ハロワのように、無駄な履歴書や職務経歴書を書く手間がないし、
一刻も早く採用されたい求職中の身としては、このスピード感もありがたい。

つまりね、前々回に書いた冒険者の話に例えるならば、
当初は「標高2000m級の山を100山紹介」したハロワに対し、
「標高500m級の山を10山紹介してくれ」と考えたものの、
求人情報サイトなら、高さ1mほどの砂山を1000山紹介してくれる、みたいな感じ。
高さ1mなら1000山登っても(というか跨いでも)まったく疲れないでしょ。
そこに徒労感はない。
ま、さすがに1000山登っても宝が見つからないと無力感は感じるかもしれないけど…。

そういうわけで、職歴なしのボンクラ44歳が職探しをするなら、
ハロワじゃなく求人情報サイト一択で、数で勝負するしかない、という結論でありました。

最後に、ハロワでのトホホな話。
ハロワに通ってたころ、これまた怪しい企業の求人があって、
担当者に相談したんだよな、これってどうなんですかね、って。
そしたら「胡散臭いですねー。しかも契約期間を明記してない契約社員でしょ?
これ、いつクビを切られても文句言えないってことですよ。
ま、僕だって来年の更新がなければクビだから、人ごとじゃないんですけどね…」
…てっきり公務員だと思い込んでたおまえも契約社員だったんかい!
なんか媚びへつらって損したわ!

2014年10月19日

ハローワークでヘコむ。 【後編】

次に問題なのは「ハロワに来る求職者層」を狙った詐欺紛いの求人な。
いや、いつの時代も悪事を働く輩が跋扈するのは世の常。
そいつらが悪いのは当然として、
だったらそれを放置するハロワに問題ないのか?という話。

エンジャパンとかはたらいくとかさ、これだけ求人情報サイトがネットに溢れてる中、
わざわざハロワに足を運ぶってのは、はっきり言ってしまうと情報弱者、いわゆる情弱が多いわけよ。
ハロワに行くといるわいるわ、ダメな人が(もちろんちゃんとした人も大勢いるけど)。
求人情報サイトのメリットは次回に述べるとして、
そこをスルーしてハロワを訪れるアナログな人たちがいる、と。
そんなアナログ層を対象に、ハロワに求人広告を出す企業とはどんな企業なのか。

どう考えたって、企業側はネットで求人を掲げた方が効果大きいじゃん。
多くの人の目に付く、応募が簡単だからたくさんの応募がある、
応募が多いってことは、より優秀な人材を確保できる、とか。
そこを使わず、ハロワで求人広告を出す企業ってのは、
掲載費をケチる企業を除くと(求人サイトへの掲載費は結構高いらしい)、
「検索・比較されちゃマズい企業」が多い気がする、オレの見たかぎり。

誤解のないよう書いておくけど、もちろんまともな求人がほとんどなんだよ。
ただ、そこに混じって、まともじゃないように思える求人がそれなりにあって、
その比率の高さが行政機関としてちょっとどうなのよ、と。

ネットでの求人だと、社名をコピペして「評判」とでも書き加えてググれば、
その企業で過去に働いてた人とかの口コミ情報がそれなりに見れるでしょ。
求人情報サイトだと、他社との比較も簡単にできるし。
でも、ハロワの求人検索端末ではそんなことはできないのね。
そこを狙ってくる悪徳企業の求人って本当に多い。

例えば、貿易事務の3年以上経験者、TOEIC700点以上の条件で、月給16万とか。…ハァ?
Objective-Cが使えてPHPにも精通していてIllustratorも使える人、月給20万とか。…アホ?
まさに情報弱者を狙った、どんだけ都合のいい条件なのよ、って募集が結構あったり。

ま、それらのケースは条件・待遇を明記してるだけマシだとも言えて、
本当に酷いのは募集内容と実際の職務内容が全然異なるケース。
例えば、毎日3件の会社訪問をして、社長から話を聞いてくるって経営コンサル会社の求人があったのね。
月収20万+インセンティブ(歩合)で、月収80万も可!だって。
これ、募集では「毎日3件の会社訪問をして」ってルート営業っぽいこと書いてるけど、
こんな会社の下っ端社員にわざわざ会ってくれる社長なんてそうそういないよね。
つまりは見ず知らずの社長とのアポイントを毎日3件取ってこい、
もしくは「おまえの知ってる社長を毎日3人紹介しろ」ってことよな。
そりゃソフトバンクの孫さんやホリエモンが入社したら80万も夢じゃないだろうけど(笑)、
ハロワで職探ししてるような連中が紹介できる社長の知り合いなんて一人いるかいないかでしょ。
案の定、その求人には15人が応募して合格者1人。その1人もすぐに退社してた。
おそらく、アポ取るまで帰ってくんな!的なパワハラはあっただろうなと勝手に想像してみたり。

こんな企業、求人情報サイトなら出禁ものなんだけど、
ハロワが問題なのは、求人数を稼ぐためか、まったく問題視してる様子がないの。
上記の悪徳経営コンサルも、何度にも渡って求人広告を出してるのね。
例えば、求人広告の掲載期間が9/1〜9/30の一ヶ月だとする。
するとこの会社、9/10には求人を取り下げて、またすぐに9/11〜10/10で求人を出す。
さらに9/20に取り下げて、9/21〜10/20で求人を出して…。
もうずっとこんな感じの繰り返し。
理由はそうした方が常にその求人が上の方(求職者がよく見る位置)に来るからだろうけど、
ハロワだって一応、過去のデータは取ってるわけ。
その企業の前々回の求人では20人が受けて全員不採用、
前回は15人が応募して1人だけ採用、でもすぐに退社、みたいな。
それ見たら、どうもおかしいなって気付きそうなものだけど、わかってながらスルーなんだよね。
オレも一度酷い目に遭ったけど、その話はまた別の機会に譲るとして。

ホント、ハロワって求人広告を出してる企業を全然調査してない。
だって良くも悪くも行政機関だもんね。評判なんて関係ないんだもの。
一方、求人情報サイトを運営してるのはもちろん民間企業だから、
下手な求人を出すとサイトの評価、運営企業の評価に関わるので、
それなりに調査して、求職者からのクレームも受け入れてるから、
そこまで無茶をする企業は淘汰されるって仕組みができあがってる。

だったら職探しはハロワじゃなくて求人情報サイトで行うべきなのか?というと、
経験者としてのオレからの答えは「YES」ではあるんだけれど、
それは募集対象年齢が明記されてるからでも、悪徳企業がいないからでもないのね。
じゃあどうしてかっつーと、その話は次回に。

2014年10月18日

ハローワークでヘコむ。 【前編】

ずるずると14年も続けてきたオークション生活がどーにもこーにも立ち行かなくなって、
44歳にして初めての就職活動を経て、今週からリーマンとして働いております。
とはいっても、正社員じゃなくて派遣社員だけど。
正社員登用を目指して、とりあえず真面目に頑張りますです。はい。

でね、仕事を探すにあたって、当初は近所のハローワークに通ってたのね。
平日は毎日、ランチのついでにハロワに寄る、ってのを日課にして(気楽だな、おい)。
そうした中で、ハロワと行政に対して感じた疑問の話。

まず、ハロワでの職探しってのはこんな流れ。

1) まず受付に申し出て、ずらっと並んだ求人検索専用の端末を使って求人情報を探す。
2) 気に入った求人があればプリントアウトして、担当の職員に渡す。
3) 職員がその場で求人先に電話して、応募の可否を聞いてくれる。
4) 無事に応募可能ということになれば、ハロワが発行する紹介状をもらう。
5) 帰宅して履歴書と職務経歴書を書いて、紹介状とともに求人先に郵送。
6) 数日後、応募書類を受け取った求人先から面接日の連絡がある。

…ま、こんな上手い具合に進むことなんてありえないんですな、特に三十代以上にとっては。
もうね、数週間ハロワに通って、全然仕事決まんないの。 笑っちゃうほどダメでやんの。

ちなみにここで言うダメってのは、そもそも面接すらしてもらえない状態ね。
人当たりはいい方なんで、面接までいけば口八丁手八丁でどうにかなるっしょ、と根拠のない自信はあって。
だけどハロワからの紹介だと面接までいけない。
求人はそれなりにあって、応募も自由にできるのね。
上記のフローで言うと、1~5はできる。けれど、6がない。
電話連絡もなく、応募した書類一式が不採用通知とともに返送されてくる。その繰り返し。

で、44歳のおっさんだし、大学は中退だし、職歴もバイトばっかだし、包茎手術もしたし(それは関係ない)、
「そっか、オレなんてどこにも必要とされてないのか…」と落ち込んだりもしましたよ、そりゃ。
超ポジティブで脳天気なオレですらそうだったんだから、
ネガティブ体質の人だったらどこまで落ちることか…。

けどね、これは現在ハロワで辛酸をなめてる大勢の求職者にも伝えたいんだけど、
その無力感や敗北感の原因って、決して「不採用が続くから」じゃなく、
「労力が報われないから」「全部無駄になったから」なのね。
つまり、無力感や敗北感と思ってるその感情の正体は、実は徒労感や脱力感なわけ。

職探しを宝探しに例えるとわかりやすいかもしんない。
ある冒険家が、どこかの山の頂にある宝を探してる、と。
その山の名前はわからないし、どこにあるかもわからない。
宝の有無は山頂まで登らないとわからない。
で、冒険者がその旨を伝えた際、ハロワというガイドは標高2000m級の山を100山紹介しやがるわけ。
宝がある山はひとつ。言い換えると99の山は登っても無駄。
そのひとつに巡り会うため、冒険者は紹介された100山を順々に巡り、登る羽目になる。
この山も違う、この山も違う。次第に疲れもたまり、もはや前に進めなくなってくる。
冒険者は「宝が見つからない。もう無理だ。オレなんて…」と無力感に苛まされる。

…ん? いや、そこで無力感を感じるのは違うでしょ?
それってハロワが100山も紹介しやがったことによって生じた徒労感でしょ?
毎度毎度2000mも登ってるのに、山頂で感じる「今回も違った…」って脱力感でしょ?
そもそも標高500m級の山を10山紹介してくれてたら、そんな徒労感を感じる必要もなかったんじゃないの?

要は、なかなか就職が決まらないって無力感は「自分のせい」ではなく、
(まあ中には明らかにその人に問題ありってケースもあるけど…)
なかなか就職を決まらせない「ハロワや行政のシステムのせい」なんだよな。

…と、ここからが本題だけど(相変わらず前フリが長い)、
仕事を探すにあたって、もっとも厄介なのが雇用均等法の弊害なんですな。
企業は雇用の際に男女で差別しちゃいけない、年齢によって採用不採用を決めちゃいけない、と。
そんな求職者の味方となるべく制定された男女雇用機会均等法・雇用対策法だけど、
完璧にオレらの職探しを阻害する結果になっちゃってんのな。
つまり、企業は求人の際、対象者の性別、年齢を明記できないわけよ。
昔のように「事務員募集 22〜25歳の女性 大卒以上」なんてことが書けない。
この例なら「事務員募集 大卒以上」しか書いちゃいけないことになってて。
ここがハロワ第一のトラップ。
求人を見て「自分もいけるかな」なんて男や中年女性が応募するでしょ。
でも実際、法律が変わっても企業が欲する人材が変わるわけないじゃん。
単に公に書けなくなったってだけで、欲しい人材は「20〜25歳の女性」のままに決まってるでしょ。

で、その求人を印刷して担当者に差し出すと企業に電話して応募の可否を聞いてくれる。
ここ、ハロワ第二のトラップ。
そりゃ企業は言いますよ、大歓迎ですよって。どうぞ応募してくれって。
だって男女・年齢の雇用機会均等が法律で謳われてて、ハロワは行政機関なんだもの。
でも普通に考えりゃ「22〜25歳の女性」を欲してる会社が「44歳のおっさん」を採るわきゃねーのよ。
だから応募した男や中年女性はあっけなく落とされるわけだ。
具体的には、応募した書類一式が読まれることすらなく返送されてくる。

この「無理なのに応募する」ってことの徒労感がハンパない。
まずその求人を見つけたときの高揚感ね。
「未経験OKの事務職で月収20万かー、いいじゃん」なんて、
自分がターゲットに入ってないことにも気付かずに浮かれちゃって。
次に履歴書と職務経歴書に取られる無駄な時間ったらもう。
履歴書って日本では今だに手書きがスタンダードだったりするじゃん。
学歴や職歴を丁寧に書いたら30分から1時間はかかるよね。
ちなみに手書きの理由は字から人柄が伝わるから、だって。バカじゃねーの。
字の上手い詐欺師や犯罪者なんて腐るほどいるっつーの。
さらに職務経歴書にいたっては応募する企業によってアピールポイントが変わってくるでしょ。
こっちはPCで書いて印刷すればいいから手書きの手間はないものの、
真面目に熟考して推敲すると、一社につき2〜3時間ほどかかったりもして。
で、添え状も作って封筒に収めて、送料が140円ほどかかって。
ついでに言うと、履歴書やクリアファイル、封筒だってタダじゃないからね。
そして企業から連絡が来るまで(長いところだと二週間ほど)ワクワクドキドキしながら待って。
これらの労力や費用、時間が、履歴書の年齢と性別を見られた途端、一瞬で全部無駄になるんだよね。

だったら雇用均等法なんていらねーよ、と思うんだよな。
行政は「性別・年齢による就職差別をなくすべき」という見解を出してくれるのはいいとしても、
法律として明記したらこっちにツケが回ってくることを全然理解してくれてない。
はっきりと対象年齢や性別を書いててくれた方がどれだけ救われるか。
企業によっては「35歳以下(将来的な育成のため)」とか、
「短大卒以上」(暗に女性募集と伝えてる)とか、
「20〜30代が大勢働いている職場です」とか、
雇用均等法を犯さない範囲でこっそりターゲット層を伝えてくれてたりもするんだけど、
そっちの方がよっぽど良心的に思えるんだよな。求職者の立場から見れば。

つづく。

2014年9月27日

お中元。

数ヶ月前のこと。彼女が働く会社にお中元の小包が届いたんだって。
個人宛てじゃなく会社宛てに届いたもので、送り主を見ると聞き覚えのない会社。
お中元を送ってくるからには、おそらく何らかの取り引きはあるんだろうけど、
社長を含む数名が外出中だから、どう関わりのある会社なのかわからない。
で、個人宛てじゃないんだし、とりあえず開けちゃっていっか、
お菓子ならいただいちゃおう、なんて思いながら小包を開封したんだと。
すると出てきたのは謎の円筒状の物体が数個。
サイズ的には紅茶缶程度の大きさで、
雑貨のようにかわいくて小洒落たパッケージが目を引くものの、
さっぱり用途がわからない。もちろんお菓子でもない。
なんだこれ? ただのインテリア?
側面には送り主の会社名、そしてその上には「TENGA」の文字…。
…TENGA !? これがあのTENGAなのか !?
隣にいた同僚の五十代のおばさんはまだ理解できない様子。
「これ何? TEN…GA?」
「あ、これは男の人の…ゴニョゴニョ」
しどろもどろになりつつもなんとか理解してもらい、
おおらかな社風のせいか、そのおばさんも「あー」という一言で事なきを得たらしいけど、
これってなんでもハラスメント化するこのご時世では大問題にもなりかねない事案よなあと。
これを「洒落」の一言で済ませられる悠長な時代じゃないでしょ。フェミニスト激怒必至でしょ。
でもTENGAをわざわざオリジナルデザインで発注して、
あえて風潮に抗ったそのマインド、オレ、嫌いじゃないよ。
彼女に二つ持って帰ってきてもらったしネ!

NHKのノンフィクションで見たちょっといい話。
震災で被災し、今でも仮設住宅暮らしの家族が
小さな食堂を始めようと奮闘する様子が取材されてて、
それ自体はまったく揶揄しようもない、人間賛歌なドキュメントなんだけど、
食堂の内装の件で話をするため建設会社に向かうシーンで、
奥さんが乗り込んだ軽自動車のシートがマリファナ柄…。
感動話が一転、トホホ感に襲われた次第であります。

2014年6月17日

間違いメール。

真面目な話が続いたので、今後はくだらない話をたくさん書こう。そうしよう。

どうやらオレのPC用のメアドとよく似たメアドの人がいるようで、
以前からたまに間違いメールが舞い込むのよ。
一番最初は、おそらく社外秘であろうExcel書類が添付されてきて、
そのときは「誤送信じゃないですか? データは消去したのでご安心を」と誠意あるメールを返し、
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」なんて返事をいただいたものの、
(ちなみにデータは消去してませんが:笑)
その後も数ヶ月に一度ほどメールが送られてくるので、
もう面倒になって、いちいち返事もしてないのね。
その人、保険の勧誘のような仕事をしてるようで、
加入者らしき人から「申し込みの不足記入分です」と、
住所、氏名、電話番号、生年月日、父母の年収など、赤裸々なメールをもらったこともあったっけ。

で、先日その人本人から二通メールが送られてきて、両方に添付ファイルが付いてんの。
つまり、おそらく会社のPCから自分のメアド宛てに添付ファイル付きのメールを送って、
それを自宅のPCで開封して添付ファイルを保存しようとしたと思うのね。
それが間違ってオレのメアドに送られてきちゃったわけ。
で、添付されてたファイルの拡張子は一通がjpg、もう一通が3gp。
jpgは画像ファイルで、3gpってのはガラケーで撮った動画ね。
jpgを開くと、巨乳のキャバ嬢っぽい写真。なんだこりゃ?
そして怖々3gpを開くと…ヒエ〜! ハ、ハメ撮りだ~~〜 !!!
プライバシーにうるさい昨今、最高のプライバシー動画流出キターーー !!!

顔はわずかしか映ってないものの、キャバ嬢とは違う人に思える。
この人の名前も住所も電話番号もわからないけど、
セックスの際の息遣いとチンコの形状、性欲旺盛なことだけはわかりましたYO!
そして、ちょうど出かけようとしてたのに、突然こんな動画を見せられたものだから、
外出を遅らせてまで自慰っちゃったオレを誰が非難出来ようか。

2014年6月12日

反原発の唯一の理由とは。

前々回前回からのつづき。
美味しんぼ騒動から早一ヶ月以上が経って、
もはやそんなこと取り上げてるブログなんてどこにもないけど、それでも書くよ!

で、正義だったはずの人たちが結果的に健康被害を願うようになっちゃった、
もうひとつの理由は「反原発を訴えるため」だと思うのね。

もちろん原発反対・再稼働反対って声はあって然るべきだし、
オレだって将来的には原発をなくしたい段階的脱原発派なんだけども、
どうやら反原発派の中にはこう考える人たちもいるようで。

福島第一原発周辺住民ならびに福島産の農作物を食べた人から
明確な健康被害が確認されなかったら、反原発の最大の論拠を失っちゃう。
「なんだ、原発事故といっても案外怖いもんじゃないんだ」なんて思われちゃう。
だから今後も脱原発を訴えるためには福島で健康被害がないと困る、と。

いやいやいや! 不謹慎な言い方になるけど、今回はラッキーだったのね。
三年前の事故では地震の直後、核分裂の連鎖反応を止める制御棒ってのが作動したんだけど、
もし何らかの理由でこの制御棒が作動してなかったら…と考えるだけでも恐ろしい。
間違いなく被害はこんな程度じゃ済まなかっただろうし、
次に事故が起きた際も制御棒が作動するかというと、100%の保証なんてないんだから。

前々回の繰り返しになるけど、福島での健康被害に話を戻すと、
事故の影響で甲状腺癌が今後0.1%増えるのか、0.2%増えるのか、まったく増えないのか、
わからない現段階ではっきりと「今後も健康被害はまったくない」とは断言出来ないけれども、
とりあえず「明確な健康被害は起こらなかった」。これが事故から三年経った現時点での結果。
だからこそ、鼻血がどうこうって悠長な話で世間が騒いでるわけで。

だから、反原発を訴えるなら、その理由は「福島では云々」じゃなくて、
「次に事故が起きたら何が起こるかわからないから」しかありえないんだよね。
なのに、風評加害者になりかねないってリスクがあるにもかかわらず、
福島での健康被害にこだわる理由がオレには全然わからないんだけど。
なんか事故や被災者を都合良く利用したいだけなんじゃねぇの?なんて邪推もしちゃう。

というか、反原発運動をしてる人たちを見てて以前からオレが不思議に思ってるのは、
上で書いたように「原発反対・再稼働反対って声はあって然るべき」ながら、
まずは明日来るかもわからない大地震に備えて、
原発をなくすよりは簡単な、より高い防波堤なんかの津波への徹底対策と、
何が起こっても電源喪失しないよう原発内部構造の再度見直しを訴えるべきで、
兎にも角にも「今の安全」を確保してから、
「未来の安全」を願って原発反対する、ってのが順番として正しいんじゃないの?
なのに、原発反対!って声は大きいのに、
まず地震・津波への徹底対策を!って声はほとんど聞こえてこない。
その順番がおかしいから、安全を願ってるというより、
「自分が正しいことを証明するため」に声を上げてるように見えるんだよな、オレには。

ま、「放射能で鼻血が出た」なんてデマに踊らされてるようじゃ、
原発撤廃なんてまだまだ無理だろうなあ、と思う。推進派の思う壺。
反原発の人こそ科学的に「んなアホな」と否定出来るようにならなきゃいけないのに。

自分の意見に都合がいいからと味噌でも糞でも利用するような人間にはなりたくないもんだ。

2014年6月3日

健康被害を望む善意。

改めて去年の日記を読み返すと、オレも適当なことを書いて風評被害に一役買ってたなーと反省。
「福島産の食べ物は避け」るのが「一般的なケース」と、
福島産の食材が若干のリスクを孕んでるように書いちゃったけど、
米は全量全袋検査を、農作物もきちんと研究・検査されてるんだから、
つまり現在流通してる食材に関しては、日本で一番(おそらく世界でも一番)安全が保証されてる食材なわけで。
安全を気にしてそこを避けるってのは、逆に安全から離れていってるんだよな。
「食の安全が大事! でも一番安全な食材は避ける!」って、よくわからないことになってる。
上記の知恵袋の回答にも書かれてるけど、結局「気持ちの問題だけ」なんだよね。
だから食の安全を意識する人こそ、福島産食材をどんどん消費していかなきゃねって話。
福島の農家の方には申し訳ないけど、風評被害のおかげで若干安いってのも正直ありがたい。

話は戻って、どういう人が美味しんぼを擁護してるのかとネットを見渡すと、
例外なく急進的反原発派の人なのね、オレが見たかぎりは。
もちろん反原発派の中にも、それはおかしいだろ、と声を上げるまともな人は大勢いる。
つまり、擁護してるのは雁屋哲の主張に同調してる人なのな。
反原発ってだけでなく、福島で癌が増える、福島に人は住めない、って考えてる人たち。

で、こういう人たちを観察していくと、一定の特徴が見えてくる。

他県と比較して甲状腺癌の発生頻度は同程度」なんて「安全寄り」のデータが出てくると、
「そんなはずはない」「絶対に健康被害はあるはずだ」と頑として譲らない。
もちろん被験者数が異なるので現状で一概に安全だとは言えないものの、
被災者を心配するなら、一応は検証結果で健康被害が確認されなかったんだから、
「(まだ100%安心は出来ないけど)ひとまずよかった」と喜ぶべきはずなんじゃないの?

逆に、「新たに甲状腺癌が見つかった」なんて「危険寄り」のデータが出てくると、
「やっぱり危険なんだ」「それ見たことか」と騒ぎ立てる。
そりゃ被験者が自覚症状のない子供という前例のない検査をしてるんだから、
放射線云々を抜きにして、新しい数値が出てくるのは当たり前で、
その結果と放射線量との関連の有無を今後調べていく必要はあれど、
この「犯人が確定していない段階」で騒ぎ立てることは風評被害に繋がりかねない、まったく無意味な行為なわけで。
むしろ数値からは、医療機器の性能向上による過剰診断を疑うべきだと思うんだけど、
そういった冷静な分析や議論には目を伏せ耳を閉ざして、声高に被害のみを訴えるのな。

美味しんぼを擁護してる人たちがまさにこの手合いなんだけども、
事の真偽はともかく、美味しんぼが「健康被害がある」と「危険寄り」の意見を述べてくれたことこそが重要で、
「放射能で鼻血が出た」「福島に住んではいけない」と、「危険寄り」の主張だったからこそ擁護したわけだ。
逆に言うと、いくら正確な調査に基づいていたとしても、「安全寄り」の意見だったら批判されていたに違いなくて。

これって不思議な話でさ、被災者を想い、原発事故を憂い、政府や東電に憤り、
震災後の福島における健康被害を危惧し、監視していた「正義」だったはずの人たちが、
いつの間にやら「被災者の健康被害を願ってる」みたいになってんだよな。
違う言い方をすると、「健康被害がないと困る」ようにも見えたりする。
…被災者が病気になることを願う? それって正義とは真逆の立ち位置では?
ここでもしばき隊の話で書いたような、正義と悪の逆転現象が顔を出す。

さて、どうしてこんなことになっちゃったのかと考えると、二つの理由があると思うんだけども、
一つは以下の記事で書かれてる「嘘つきにならないため」って理由。

放射能被害の発生を声高に訴えてきたオオカミ少年は、悲劇を望むようになる : アゴラ - ライブドアブログ

個人的には「嘘つきになりたくない」、自分の考えてきた、やってきたことを「否定したくない」に加えて、
やってきたことを「無駄にしたくない」って貧乏性のようなものもあると思う。

余談ながら、2013年に大阪で震災瓦礫の受け入れ焼却を行った際、
Twitterで喉の痛みや咳、空気の汚れを訴えていた瓦礫受け入れ反対派の人たちがいたのね。
無論、「岩手」の「100bq/kg以下の瓦礫」を「人工の離れ小島」で処理して被害が出るはずも、
ましてや個人が0.01μSv/hレベルの線量差を体感出来るはずもなく(だとしたら線量計要らず!)、
非常にわかりやすい逆プラシーボ効果(つまり「気のせい」)であるんだけれども、
これも恥ずかしくて今さら「気のせいでした」とは言えんよなあと。

で、もうひとつの理由は…長くなったからつづく。

2014年5月25日

美味しんぼ騒動を受けて。

遅ればせながら、先日の美味しんぼ騒動を受けて。
とりあえず、騒動の概要まとめ。

雁屋哲さんの美味しんぼ福島鼻血炎上事件のまとめと考察

この件、ネット上では三年前に終結した議論で、
それを今さらぶり返されてもなあ、というのが第一印象。

で、今回の騒動に関しては、個人的にはこのブログが完璧な反証だと思う。
難しい話を抜きに、なおかつ科学的・論理的に面白くわかりやすく解説してくれてる。

山本弘のSF秘密基地BLOG:鼻血効果
山本弘のSF秘密基地BLOG:続・鼻血効果

つまりはすごく滑稽な主張をしてるのね。
勃起力が弱まってきたのは放射能のせいだ!みたいな。
最近ウンコの切れが悪いのは放射能のせいだ!みたいな。
じゃあオレに勤労意欲が湧かないのも放射能のせいにしちゃおう! あ、これは3.11以前からか…。

いや、バカと思われてもいいから主張したいなら自由にやればいいけど、
世間に対してアピールしたいんなら、せめて統計を出してくんない?と。
被災地周辺で本当にそうした症状が増えているのか、それは全国と比較してどうなのか。
そして実際に増えているんだとすれば、その現象を科学的に検証してどういう結果が出たのか。
そんな検証すら怠って「勃起力が弱まってきた!」って騒いでんだから、呆れるしかない。
しかも医者が「老化です」と診断しても「嘘だ!そんなわけない!」だって。トホホ。

もちろんデマの類だし、上記のブログに書いてある通り井戸川元町長もかなりヤバい人なんです。
つまり、作者・雁屋哲は現地を調査した上で「どうやら福島は危ない」と結論付けたわけじゃなく、
「福島は危ない」という、あらかじめ決めておいた刺激的な結論に導きたいがために、
井戸川元町長や松井英介所長という「変わった人」を担ぎ出したわけだ。
こんな方法が許されるなら、「放射能? 低線量ならむしろ体にいいですよ」という異端の研究者を捕まえてきて、
(放射線ホルミシス効果といって、実際に研究・肯定してる科学者も大勢いる)
「福島で健康になった」「癌患者は福島に移住すべき」って結論付けることも容易なわけで。

ごく少数の「変わった人」の意見を元にして検証も行わず、
<こう言ってる人がいる>→<だから違うと断言は出来ない>
そんな破綻した論法が許されるなら、もうなんだって書けちゃう。

ちなみに報ステもそうした手法を使って叩かれてんだけど、本当に酷い。
体調の異変を自覚する前に検査をしたなら発見数は大きくなって当たり前だし、
一生症状が出ないかもしれないのに甲状腺癌と診断された子供や家族の心的負担を考えると心が痛い。

メディアが少数の「変わった人」の意見を報じた例なら、こういうのもある。
まだ眉唾もののホルミシス効果だけど、科学的に全否定されてない分だけ報ステよりマシ。
すべてを信じる必要はないけど、不安を感じる人は読んでおくべき内容だと思う。
(チェルノブイリでの甲状腺癌による子供の死亡者数とかは全然違うけど。実際は15人だったはず)

中村仁信/放射線は怖くない、むしろ体にいい - SALUMERA - Yahoo!ブログ

だから、危険ならいい、安全ならいい、とかって話じゃなくて、
「影響力もあるんだし嘘や偏見に基づいた煽動は止めようよ」って単純な話なのね。
過剰に危険と言うのも、過剰に安全と言うのもリスクを孕んでるのよ、と。
それを鵜呑みにしちゃう人もいるし、それによって被害を受ける人も出てくるんだから。

で、驚くことに、この美味しんぼを擁護してるバカもいるんだけど、
こういうバカに限って、借りてきた他人の言葉でキャンキャン吠える。
「放射線による健康被害は『わからない』んだから、同様に鼻血に関しても『わからない』じゃないか」と。
確かに「放射線で今後どういった健康被害が起こるかは『わからない』」なんて言葉をよく耳にするけど…。

…いや、充分にわかってるから!
そういう人には、お願いだから、一冊だけでいいからまともな解説書を読んで、と願う。
原発推進寄りでも反対寄りでもない、専門家のちゃんとした解説書を読めばわかるはずなんだけど。
(読みやすくておすすめなのはここで無料公開されてるPDF書籍化もされてます

今後起こるであろう健康被害は物理学や疫学でほとんどわかってる。
それはデータ上、他の理由に埋もれてしまう「『わからない』ほど小さな被害」だって言ってんの。
そりゃそうだ、避難せず被曝しまくった1歳が未検査の食品だけを食べ続ける、ってありえない設定で0.52%なんだから。
つまり、超少ない被害の範囲内で(0~0.1%とか)、どれほどになるかが「わからない」。
そんなデータ上ではほぼ表れない、「ない」と言い切っても問題のない程度の被害を、
良識ある科学者が「『わからない』ほど小さな被害は起こりうるかもしれない」って言ってくれてんの。
過剰とも言えるほどに危険寄りに物事を考えてくれてんの。
その言葉尻を捉えて「ほら!わからないんじゃないか!」と叫ぶ醜さったら見てらんない。

例えば、豆を一気に千粒食べたら癌になる可能性が高まる、という研究結果があったとする。
で、オレが今日から毎日、豆を一日一粒ずつ食べ続けたとする。
そしてオレが80歳で癌になったとき、それは毎日豆を一粒ずつ食べたせいだったのか。
普通の人は「んなアホな」と言う。
しかし、これを科学的に言うと「100%ない、とは言えない」ということになる。
だって何十年も毎日一粒ずつ豆を食べる研究なんてやってないんだから。
ありえないとは思いつつ、検証されてないから「わからない」としか言えない。
これが科学的目線であるということ。
それを受けて「真面目か!」とツッコむならわかるけど、
「ほら!わからないんじゃないか!」って、…もうバカ丸出しでしょ。

この話、つづく。

2014年5月20日

「ー」を無視するな。

もう何年もずっと気になってること。

前回の日記の「今日の一曲」であえて「シティポップ」と書いたんだけど、
確かにこれで間違ってないわけ。Wikipediaでもそう表記されてる。
でも、これって昔は「シティー・ポップ」じゃなかった?
HONDAの小型車は「シティー」だったし、
都会派の暮らしを「シティー・ライフ」なんて呼んだし、
雑誌には「シティー派ファッション」なんて特集組まれてたよね?
でも現在、Wikipediaでは「ホンダ・シティ」になってるし、
「シティー」でググると…検索結果には「シティ」しか出てこない

もはや「シティー」がなかったことになってて、なんだか怖いんですけど!
「目覚めたら昨日と日常が変わってた」系のSF映画の主人公気分!
「妻と娘はどこだ?」「何を言ってるんですか、あなたはずっと独身ですよ」みたいな!

そういえば「アイデンティティ」もだよね。以前は「アイデンティティー」だったでしょ?
最近は「パーティ」なんて書くんだってね。いや、それ「パーティー」だから!
じゃあ問題は語尾が「y」の単語だけかと思いきや、
これはオレもよく使っちゃうけど「コンピュータ」とか。「コンピューター」だよね?
PC用語には結構多いな。「サーバ」とか「メモリ」とか「スキャナ」とか。
「ライブラリ」なんてのも本来は「ライブラリー」だよなあ。

この「表記するときは語尾を伸ばさない」って暗黙の了解が妙に気持ち悪い。
いったいいつから? 気が付いたら「シティ」になってたけど、
オレ以外のみんなが、この日からこういうルールでいこう、って決めたの?

で、ここまでの文章は「オチはないけど、違和感があるから書いた」だけだったんだけど、
念のため調べてみると、ちゃんと理由があったことに驚いた。

JISの表記規格によって、3文字以上のカタカナに長音記号を付けないというルールが決まってるんだとか。
一方、2文字以下のカタカナには長音記号を付けるんだとか。
確かに「タブー」とか「ルビー」とか「バレー」とかはそのままだもんなあ。
へぇーボタン連打。なるほどなるほど、疑問氷解。

ん? でも「ヒーロ」や「ノスタルジ」や「シドニ」なんて書かなくない?
「シーソ」? 「ストロ」? 「ガールズバ」? 「新春シャンソンショ」?
「彼女はロータでオナニを行いエクスタシに達した」? …勃たねぇわ!

ということは、まだオレの知らない別のルールがあるということか?
フランス語からの外来語は伸ばす、ポルトガル語からの外来語は伸ばさない、とか?
…いや、もうどうでもよくなってきた。
新ルールが出来る度にいちいちJISに振り回されるのもアホらしいし、
口語体の文章ではやっぱり違和感は残るし、
オレは今後もなるべく長音記号を付けていきたいです。シティー。

…そういえば「ヒットラー」はいつから「ヒトラー」になったの? 「ヒットラーの復活」の立場は?

2014年5月15日

建前と本音。

以前にふと思ったことなんだけど、建前を言えない、本音でしか生きられない人って増えてんのかなあ。
…何気なく「以前に」と書いたけど、振り返ったらちょうど一年前だった。
半年ほど前じゃなかったっけ? 月日の流れる速さにガクブル。加齢って怖い。

そんなことを思ったきっかけは、炎上騒動の元となった乙武さんの連ツイ。
当時結構派手に燃え上がったので覚えてる方も多いんじゃなかろうか。

今日は、銀座で夕食のはずだった。「TRATTORIA GANZO」というイタリアンが評判よさそうだったので、楽しみに予約しておいた。
が、到着してみると、車いすだからと入店拒否された。「車いすなら、事前に言っておくのが常識だ」「ほかのお客様の迷惑になる」――こんな経験は初めてだ。
乙武 洋匡 (@h_ototake)  2013.05.18 19:27
https://twitter.com/h_ototake/status/335703141318270976

お店はビルの2階。エレベーターはあるが、2階には止まらない仕組みだという。「それはホームページにも書いてあるんだけどね」――ぶっきらぼうに言う店主。
「ちょっと下まで降りてきて、抱えていただくことは…」「忙しいから無理」「……」「これがうちのスタイルなんでね」以上、銀座での屈辱。
乙武 洋匡さん (@h_ototake) 2013.05.18 19:34
https://twitter.com/h_ototake/status/335704926523109378

※ 現在は両方とも削除済み

このツイートに批判が集中して見事炎上。

乙武さんを銀座のレストランが入店拒否した問題 ネット上の反応 - NAVER まとめ

そして乙武さんがブログで陳謝して一応は鎮火。

イタリアン入店拒否について | 乙武洋匡オフィシャルサイト

この件に関するツイートやはてブコメント、ブログなんかを当時いろいろと読んで、
もちろん全部見たわけじゃないから見落としもたくさんあっただろうけど、
「建前で対応出来ない店主がバカ」って意見がなかったことに驚いたのね。
みんな、そんなに本音だけで生きてんの?って。
ショップの店員が「すごく似合ってらっしゃいますよ~」と洋服を薦める。
飲食店を退店する際、バイトが「またのお越しをお待ちしております!」と大声で頭を下げる。
それ、全員に本音で言ってると思ってんの? んなわきゃねーだろ!

エレベーターのないビルの何階、なんて立地の店はたくさんある。
入り口が狭いとか、段差が激しいとか、慢性的な人手不足とか、事情なんて店の数だけある。
そこに車椅子の客(電動車椅子は100kg以上ある)が事前連絡なしで来店した場合、
障害者だから、有名人だから、店は無理しても対処しなきゃいけないの?と批判側。
一方擁護側は、一般の客同様に扱わないのは差別じゃないの?と。
確かに両論ともごもっともではある。

いや、これね、入店拒否した差別した云々なんて大きな話じゃなくて、
その場で建前を言えなかった店主に火種があるんじゃないの?

夕食時の忙しい最中、予約客が来たと思ったら電動車椅子だったと。
正直「チッ」と舌打ちしたい気持ちが芽生えたからって誰が責められよう。
そこで面倒ながらも階下に下りて行って、泣きそうな顔を作って丁重に頭を下げ、
「店長の高田です。誠に申し訳ございません、車椅子のお客様だとは露知らず…。
当店はエレベーターの止まらないこうした不便な立地ですので、
勝手ながら車椅子の方には事前にご連絡をいただくようにしておりまして…。
事前にご連絡をいただければ、力持ちの友人がおりますので、
彼に声をかけてでも対処させていただいたんですが…」
「ちょっと下まで降りてきて、抱えていただくことは…」
「それが昨夜、大変お恥ずかしい話ですが、風呂に入った際に腰を痛めてしまいまして…。
今朝起きたら少しましになっていたものの、まだ本調子ではございませんで。
そんな私が乙武様を抱えようものなら、乙武様を危険な目に遭わせかねませんし、
大事な車椅子をこちらに放置されて、何かあっても責任は負いかねます。
そちらに関しても、事前にご連絡さえいただければ、
エレベーターのある近所の知り合いの飲食店に話をして、
お食事中はそちらに駐車していただくことも出来ますので…」
ここで「ですので本日はお引き取りをお願いいたします」とは言わない。
あえて「駐車していただくことも出来ますので…」で言葉を止めておき、
申し訳なさそうな顔を演じ続けて間を開けることで、
相手から能動的に「…そうですか、しょうがないですね」の言葉を引き出す。
「…私の力が至らないばかりにご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでしたっ!」
頭を下げて相手が見えなくなるまで見送った後、階段を上りつつ、小さな声で呟く。
「ったく、あの五体不満足野郎…。ただでさえ忙しいのに手間かけさせやがって…」
店内に戻ると、料理の遅さを愚痴る客。
「店長、どこ行ってたの。遅いよ」
「いや、申し訳ありません。階下で鬱陶しいクレーマーが騒いでたものですから」

接客業を営むなら、いや、接客業以前に大人として、
これぐらいの建前は言えなきゃ全然ダメでしょ。大人失格でしょ。
ま、建前を超えた若干の嘘も混じってるけど(笑)、
建前の範疇として、社会の潤滑油として、この程度の嘘を咄嗟につくスキルも必要でしょ、大人なら。
なのに当の店長ったら、本音を客に直接吐露してどうすんだ、っつー話。
そりゃ接客業の資格がないって糾弾もされて当然だわな。


■ 今日の一曲
名古屋のシンセポップバンドによる新解釈の現代版シティポップ、との触れ込みだけど、
シティポップ好きじゃなくともハマる、やたらと気持ちの良いキャッチーサウンド。やられた。

Orland - Fragment of Romance

2014年5月13日

豚を攻撃する際に四つん這いになるやつはバカだと思って間違いない。

一年ほど前から在特会周辺の話題に関心を持ってまして。
在特会ならびに在日差別、ヘイトスピーチに関する基礎知識はこちら。

新大久保や鶴橋で何が起きているのかについて、知らない人に向けて。 - <life>fool</life>

こうした差別的言動を繰り返す団体や個人、その思想・行動に賛同する者は
ネットを通じてその主張を広める手法から「ネット右翼」、通称「ネトウヨ」と呼ばれ、
(実際には右翼からも保守からも嫌われてるただの排外主義者なんだけど)
攻撃的な街宣デモを繰り返して、これまでに何度も問題を起こしてるのね。
興味を持たれた方は安田浩一氏の「ネットと愛国 ~在特会の「闇」を追いかけて~」も読まれたし。

で、上記のリンク先を読むとおわかりの通り、
在特会とは何かっつーと、いたってシンプルに「キチガイ」の一言に尽きるわけですよ。

2002年の日韓共催W杯あたりから世間では徐々に嫌韓の空気が醸成されて、
(2chでは飯島愛を女神扱いしたりしてたっけ。もう12年前になるのか…)
2005年には嫌韓を煽った「マンガ嫌韓流」がベストセラーに。
今では嫌韓本・呆韓本の類が書店で平積みされるほど、嫌韓はすっかり市民権を得てる。
平積みに否定的な人もいるけど、個人的には健全な需給の結果であり表現の自由だと思う)
そうした土壌に加え、昨今の国際情勢を鑑みると「アンチ韓国政府・アンチ韓国社会」は大いに理解出来る。
在日韓国人・朝鮮人(以下、在日と略)の中には嫌なやつもいるだろうし、そいつ個人を嫌いになるのもわかる。
(むしろ嫌なやつなのに「在日だから」嫌いにならないなら、それは充分に差別だわな)
ただ、それがどうして「○○は全部嫌い」になっちゃうのかがわからないんであってさ。
どうしてアンチ韓国人やアンチ韓流ドラマ、アンチK-POPになるのか、
ましてや、それがどうしてアンチ在日になるのか、飛躍が過ぎてもう理解不能ですよ。
マンションの大家が五月蠅いからって「このマンションの住民は全員嫌い!」となるか?
ラジオから嫌いな曲が流れてきたら「もう音楽なんて聴かない!CD全部捨てる!」となるか?
しかも個人がそう思うのは自由だけど(バカだとは思うけど)、
それを大声で喧伝して回り、同調を求めるなんて正気の沙汰じゃないわなと。

個人的な意見を書いておくと、オレは在特会の言う「在日特権」なんてないと思ってんのね。
通名制度も特別永住許可も「悪用しようと思えば可能」なだけであって、
ごく一部が悪用したからってそれを「特権だ!」と叫ばれてもなあ、と。
「一部の人が生まれながらにして持つ、悪用可能な権利」を特権と糾弾するのであれば、
皇室、障害者、天性のアスリート、手先の器用な人、なんかも非難しないと嘘になっちゃう。
オレにとっては「女」、ましてや「美人」なんてのは最大の特権だと思うけどなあ…。
それはともかく、百歩譲って在日特権の存在を認めるとしても、
だったら特権を与えてる政府サイドを非難して改正案を提案すべきはずで、
特権濫用を抑止するための法整備を行った方がよっぽど効果的でしょうよ。
それなのに、言われたところでどうすることも出来ない在日に対して
ヘイトスピーチを行う時点で、本質的にはストレス発散でしかないんだよね。
そもそも問題意識もないんだろうし、解決するつもりもないのは明白なわけで。

つまりゲーム気分で差別を行う「絶対悪」なんだよな、在特会というのは。
そこに擁護出来る要素は微塵もない。
逆に言うと、叩くだけで「絶対的正義」になれる存在であって。
ここ、ちょっと覚えといて。後で出てくるから。

で、差別的デモ=犯罪かというと一概には言えなくて、
一応はデモの許可を取っている以上、法は遵守してることになってる。現行法上では。
オレなんかは差別的デモ、ヘイトスピーチを法規制すれば済む簡単な話だと思うんだけど、
それだと「どこからが差別でどこからがヘイトスピーチか」を誰が定義するのかという問題や、
言論統制に繋がるというリベラルな人たちによる危惧があって、
現状では野放しにせざるを得ないっつー、非常に情けないことになってて。
時の政府が悪用出来ないよう明文化して、さっさと法改正しちゃえばいいじゃんねー、固いこと言ってないで。

以上、ここまでは「差別はいけないよね、差別する人は悪いよね」という当たり前の話。

ここからの展開がオレ的には俄然面白くなってくるんだけど、
上記の通り、法的には現状放置せざるを得ない差別的集団に対して
差別反対を標榜して果敢にも立ち上がった人たちがいたのな。
それが一番最初のリンク先にも書かれてる「レイシストをしばき隊」や「プラカ隊」でさ。
彼らは差別許すまじとカウンター(反対勢力)として在特会と対峙したわけ。

ここでさっき「ちょっと覚えといて」と書いた部分を振り返ると、
彼らカウンター勢は生まれながらにして「絶対的正義」なのね。
そりゃそうだ、絶対悪の差別的集団に立ち向かっていくんだから正義に決まってる。
差別を憎む我々が賛同すべきはカウンター勢でしかありえないし、
差別vs反差別、絶対悪vs絶対正義、常識人なら誰もが後者を支持するのは明らかで。

ただ、この対立はそんな単純な図式から「逸脱」していくんだよね…。

先に書いておくと、オレはプラカ隊は支持する。いや、支持してた(理由は後述)。
プラカードに差別反対の旨のメッセージをしたためて、
ただ黙って街頭に立ち、静かに意思を表明するプラカ隊は
本当の意味でのカウンターたり得てると思うし、
日本人は決して差別を許していない、という対外向けの意思表示にもなってる。
もちろんそれで簡単に差別がなくなるわけではないけれど、
オレは差別的デモを根本的に絶つには法整備しかないと思ってるから、
それまでの場繋ぎとして、プラカ隊は充分に機能していると思うんだけども。

さて、もう一方のカウンター勢力、しばき隊の「逸脱」は圧倒的なネーミングセンスの欠如に始まる。
暴力を示唆するかのような「レイシストをしばき隊」って…。
実際にしばく(殴る)わけじゃなく、しばきたいと思ってるから「しばき隊」らしいけど、
第三者の目にはそうは映らんわなあ。「しばき軍団」みたいな意味合いに取られる。
「レイシストを許さない会」「レイシストに断固反対し隊」とかでいいじゃんなあ。
どうしてわざわざこんな誤解を招く、正義らしくない名前にしたのか不思議。

しかも彼らは「目には目を」「毒を以て毒を制す」の論理で、
名は体を表すが如く、実際に暴力的なやり方で戦いを挑んでいくんだな。
侮蔑的な言葉で在日に罵声を浴びせる在特会に対し、
しばき隊も侮蔑的な言葉で在特会に罵声を浴びせる。
時には在特会と揉み合いになり、暴行容疑で数名の逮捕者も出してる。
「しばき隊」やメンバー名で画像検索すると、
出てくるのは和彫りの刺青をキメた強面の輩だったり、
記念写真かのようにカメラ目線で中指を立てる中二病のような連中だったり…。

さらにはメンバーに暴行・脅迫の犯罪歴があったり、前科二犯の政治犯がいたり、
ついには先日、生活保護費不正受給で逮捕される者もいたりで、
目的としてはせっかく明確な正義を掲げてるのに、そこに頻繁に非正義が顔を出す。

もうね、全然ダメなの。信用の出来なさ、説得力のなさ、求心力のなさがハンパないの。
本人たちは正義の旗印の下で英雄気取りなのかもしれないけど、
こんなの見たら一般人は「やだ、こわーい、気持ちわるーい」と感じるよ。
仮面ライダーに犯罪歴があって、全裸に靴下だけみたいなルックスだったら、
いくら正義を守ったとしてもヒーローとして認めてもらえないでしょ。仲間になりたくないでしょ。

つまりはね、そもそもプラカ隊とは異なった目的で組織された集団で、
差別反対という主張を悠長に述べるよりも、その場で直ちにレイシズムを食い止めたい、って主旨があって。
その崇高な主旨自体を揶揄するつもりはないけど、
第三者の目線という客観性が見事に欠落してんのね。
目の前に差別を行う敵がいて、差別を受けてる被害者がいて、差別に対峙する自分たちがいると。
その外側で「今後運動に参加したり支援したりしてくれるかもしれない第三者がその様子を見ている」ことが全然見えてない。

市民活動なんて民意を味方につけて、大衆を引き込んでナンボなんだから、
運営にあたってマイナスイメージや敵対勢力からのツッコミどころの排除は絶対に必須なんだよな。
今回の件でも、一部のメンバーの暴力性やバックボーンが原因で、
しばき隊全体のイメージ低下に繋がり、大衆を運動に引っ張り出せなかったわけで。

何度も言うけど、当初は「絶対的正義」という圧倒的優位を誇っていたんだからさ、
普遍的でベタな「差別ハンターイ!」といった形の抗議活動を続けてれば、
絶対に民意がついてきて、数万人、数十万人単位のカウンターとなり得たんだよ。
そうなれば数の力で、とりあえず目の前の差別的デモは止められたはずで。

また、こういった抗議行動で「毒を以て毒を制す」って手法が孕む問題点は、
敵対勢力や第三者から「おまえらも同じ穴の狢じゃねぇか」とツッコまれることでさ。
上に書いたように、ヘイトスピーチに反対するしばき隊も、在特会へのヘイトスピーチを行ってるわけだから。
で、案の定ネトウヨからその件を批判されると、
「我々が在特会に行っているのはヘイトスピーチではない。ヘイトスピーチというのは…」と、
ヘイトスピーチを勝手に定義して、自らを正当化し始めたのな。あちゃー。

…いやいや、「自分たちの作ったルールで自分たちの言動を正当化する」って一番のタブーでしょ!
正当かどうかは世間がジャッジすることで、決して本人たちが決めるこっちゃない。
それなら在特会の差別的行動すら「在特会ルールでは在日への正当な抗議活動」ってことになるし、
「イスラム原理主義においては…」ってテロリストの言い分をも認めることになっちゃう。

というかね、オレはてっきり手法がマズいのは承知の上で、
それでも差別抑止という目的遂行のために批判覚悟で「あえて」ダーティーヒーローを演じてるのかと思ってたよ。
なのに弁解してどうすんだと。なんだかすげーかっこ悪いんですけど。
つーか、そんな弁解してまで、どうして「ヘイトスピーチと誤解される罵倒」が必要なのかがわからない。
オレには感情の赴くままに放った言葉の暴力を後から自己弁護してるようにしか見えないんだよな。

一応はしばき隊の暴力性に対する弁明もあるものの、オレには言い訳にしか見えない。
確かに「法整備なし」というルール上なら最適解かもしれないけど、
どうしてそこまで法整備を避けるのかがまず理解出来ないし、
結果的に国家が差別を容認して、その度に強面の自警団が暴力的に対処する、
しかもその自警団が本当は正義なのか悪なのかはわからない、
そんな北斗の拳にも似たカオスな世界、オレは絶対に嫌だがなあ。

こうして大衆の支持を失った活動は「正しいことをしているのに認められない」が故、
過激な言動が目立つようになり先鋭化して、ますます民意から世間から遠ざかっていくわけだ。
Twitterでは「反差別運動をするなら殺人魔だろうが強盗魔だろうが関係ねえ」とか発言したりさ。
少なくともオレはいくら正しい行動でも殺人魔や強盗魔と一緒にしたくはないよ…。
この時点で「正義vs悪」の図式は消滅して「悪vs悪」になってんだよな。

そもそもオレが被差別側の在日だったらどう思うだろうか。
当初は味方の出現に心強く感じただろうけど、
それが反社会的イメージを纏った者だったら…。
差別加害者と同様に下品な罵詈雑言を吐く輩だったら…。
正直、ありがた迷惑じゃなかろうか、と思う。
差別は嫌だけど、この人たちと同類に見られるのもな、って。

実際にあるべき解決法がしばき隊のそれだとはオレにはどうしても思えないんだよなあ。
いじめられっ子を普段素行の悪いヤンキーが救う、みたいな一見美談チックな漫画的構図だけど、
それだといじめられっ子はまたいじめられるし、その度にヤンキーが救わなくちゃならない。
根本的に必要なのはいじめっ子に対する罰則を規定した、いじめを絶対に許さない校則じゃないの?

先述したネーミングセンス云々の続きだけど、
しばき隊はイメージ払拭のためか、昨年末に団体名を変更してんだよね。
「レイシズムに対抗」するため「しばき隊・プラカ隊等が渾然一体となったプラットフォーム」として(Wikipediaより)
新しい団体名は「C.R.A.C.」(Counter-Racist Action Collective)というんだけど、これがまた全然ダメ。
「クラック」って破壊的な意味を持っちゃってるでしょ。Crackingだったりコカインの隠語だったり。
だったら「反差別連合」とか「A.A.R.(Association Against Racism)」とか、何でもいいんだよ。
ただ、C.R.A.C.は違うんだよなー。中指立てた写真と相まって、軽薄で底の浅いパンク臭が漂うんだよね。
ちなみにC.R.A.C.になった時点でオレはプラカ隊を見切った。あー、しばき隊を認めるんだ、って。
また、現在しばき隊の関連団体として反レイシスト団体がいくつか発起してるんだけど、
その名前が「男組」、「友だち守る団」、「我道会」…。酷い…。

そのC.R.A.C.が今春ついに暴走を始めた模様。
「在特会による差別的デモの制止」が発会理由だったはずなのに、
気付けば安部首相に対するヘイトスピーチを始める始末。あわわわ…。
差別的プラカードに飛び交う罵声、お決まりの中指を立てたファッキンポーズ。
しかもその画像を得意げにC.R.A.C.のHPに掲載したりもして。ああ…。

もう当初の行動理念も失ってるし、在特会とどっちがレイシストだかわからない。
正義の行動で得た支持者の「力」を政治的活動に利用するって最悪じゃね?
もちろん安部首相や政権与党を批判すること自体は個人の思想信条の自由なんだよ。
だったら個人か別団体でやればいいし、そこにC.R.A.C.の名前を使うのは違うだろと。
逆にC.R.A.C.を名乗って、汚い言葉、下品なポーズで反政府的主張をすることに何のメリットがあるのかをオレは尋ねたい。
むしろ安部首相は在特会を非難し、移民政策をも考慮するほど人種差別・民族差別には反対の立場なんだよね。
そこを批判するってことは、差別云々とは何の関係もない単なる主催者の政治的主義主張で、C.R.A.C.が出る幕じゃない。
結局は、敵がたまたま在特会だったから正義に見えたけど、
実は単に「自分たちが気に食わないものに反対する団体」だったのか、なんて邪推すらしちゃう。
元々しばき隊の母体は首都圏反原発連合なんだけど、
シングルイシュー(争点をひとつに絞ること)を失った市民活動は瓦解するって反原発運動の際に学ばなかったのかね。

在特会に唯一感謝すべき点は「わかりやすい悪である」ことなのね。
だからみんなが敵という認識を共有出来るし、みんなが存在を嫌悪する。
オレが懸念するのは正義を巧妙に利用した、こういうC.R.A.C.のような連中でさ。
一旦「正義」というレッテルを貼られたことで周囲を油断させ、
そのレッテルを利用して別のベクトルに向かう危険性を孕んでることで。
オウムに入信してテロ行為に手を染めた狂信者も元々はヨガ同好会の会員に過ぎなかったわけだ。
入信に至る過程は洗脳だけじゃなく、「この同好会の延長線上なら」って信頼感も当然あったろう。
「当初の目的」から離れて「当初の目的の支持者」を思想誘導することが許されるはずがない。
ま、これまで書いてきたようにC.R.A.C.はそもそも「正義」のレッテルの獲得に失敗してるんだけど…。

他にも、このC.R.A.C.が活動費捻出のためにパンク色の濃いグッズを販売してたり、
メンバーに有名人が混じってたり(松沢呉一は著書「鬼と蠅叩き」が好きだっただけに残念)、
主催者が音楽畑出身の人だから運動にすごくサブカル臭を感じたり、
書きたいことはいろいろとあるんだけど、また機会があれば。

で、オレなりの結論。
第三者が取るべきカウンター行動は徹底した無視、それしかないとオレは思う。
無視をしつつ、反撃としてコリアンタウンに「笑顔」と「お金」を落とす。
在特会がいくらヘイトを声高に叫んでも、徹底的にスルーされて、
意図とは逆にコリアンタウンは人で賑わい、潤っていく。
それこそが在特会のもっとも嫌がる結果で、一番の平和的なカウンターじゃなかろうか、と思うわけだ。
差別的デモ・ヘイトスピーチを法で規制出来るようになるまでは。

と、いろいろ書いたけど決して在特会の肩を持ってるわけじゃない。あいつらはキチガイ。それは間違いない。
ただ、キチガイの敵がまともだとは限らないし、
罵声を浴びせてくるキチガイに対して、こっちも罵声で返すのは愚の骨頂だっつー話。
豚を攻撃する際に四つん這いになるやつはバカだと思って間違いない。

…あ、言い忘れましたがおひさしぶりです。