2014年11月2日

営業コンサルというお仕事。 【前編】

まだまだ続くよ、就職話。

ハロワでの職探しの際、えらい目に遭ったと以前書いたけど、
正社員で企画営業の求人があったのね。
もちろんオレ、企画も営業もやったことないけど、
未経験者歓迎って書いてあるの。
てことは、ははーん、アレですか、と。
またもや新卒~20代希望で、おっさんは除外の、あのパターンですか、と。
でも懲りずに、一応担当者に応募したい旨を告げ、電話で応募の可否を聞いてもらったのね。
「未経験の44歳男性が希望しておられますが応募してもいいですか」って。
ま、無理だよね。いつものターゲットの壁に阻まれるよね。
そしたら向こうの採用担当者は「明日、履歴書を持って面接に来れますか?」なんて言うわけ。
ネット応募以上の超スピード面接!
他の人はこんな経験あんのかね? オレは後にも先にもこれ一回きりだわ。
こっちも早く仕事始めたいから「だ、大丈夫です」なんて答えると、
伝えられた面接場所が、ハロワに登録されてる事業所の所在地と違うのね。
ま、それはよくあることだから了承して、紹介状をもらって帰宅して。

ここでその求人を簡単にまとめておくと、こんな感じ。

<職種>
企画営業

<仕事内容>
あなたには当社が扱っている商材の販売促進案を企画してもらいます。
面白いアイデアで『あっ』と言われる企画を考えるお仕事です。

<事業所所在地>
うちから自転車で10分ほどの場所

<条件>
服装自由

<休日>
土日祝(完全週休二日制)

なかなかの好条件でしょ。
仕事内容はなんだか面白そうだし、通勤も楽々。
何より服装自由ってのがうれしいし、土日祝休みもありがたい。

で、帰宅してから慌てて履歴書を書きつつ、
Googleマップのストリートビューで面接場所の確認をすると、なかなかキナ臭いビルが現れて。
年期が入ったビルの一階には焼鳥屋が入ってて、窓の貼り紙を見るとサラ金業者の入居が目立つ、
犯人の潜伏先として刑事ドラマに出てきそうな、「ザ・雑居ビル」って怪しい雰囲気。

ま、ここで働くわけじゃないから、あくまで面接場所だから、と自分を納得させて、
翌日、スーツに着替えて結構遠い面接場所まで向かったのな。
まずビルに入ると、ストリートビューではわからなかった点が目に付く。
…天井、ひくっ! 圧迫感、すごっ! これ、背伸びしたら頭が天井に届くんじゃないの?
ドアをノックし、「面接に参りました」とドアを開けると…なんだこの部屋は?
部屋、せまっ! 八畳ほどの何もない…本当に何もない部屋!
がらんとした部屋の隅にオフィステーブルが置いてあって、
その上にはPCが一台だけ。他には何もない。書類なんかも一切ない。
そして壁を見ると、これまた何もない。
書類棚やホワイトボード、コピー機のような、本来オフィスに置かれているべきものが何もない。
ただ、床にダンボールが数個転がってるだけ。
つまりね、イメージしてもらえばわかりやすいのは、夜逃げ跡のオフィスね。

そんな部屋にいたのは、唯一置かれたPCを操作してる男の人が一人だけ。
PCを操作、といってもExcelとかじゃなく、ネットをぼーっと眺めてたっぽい感じで。
その人がすくっと立ち上がり、「本日面接をします中本(仮名)です」と。

もうね、この時点で帰りたくてしょうがないですよ。
頭の中では本能が「DANGER!DANGER!」と警報を鳴らしてますよ。

しかし、今回オレが希望してるのは「バイト」じゃなく「就職」なのね。
これまでの生半可な気持ちで面接に来たわけじゃなく、第二の人生を掴みに来たわけよ。
就職への固い決意や覚悟といったものが、後ずさりするオレの足を前へと押し戻すわけよ。
この程度の雰囲気に負けるなと。仕事自体は悪くないかもしれないじゃないかと。
入社してもここで働くわけじゃないし、晴れて事業所勤務になった後は、
「しかしあの面接場所、酷かったですよねー」なんて笑い話になるじゃないかと。

そんなオレの「やる気」を察して、中本が仕事についての説明を始めたわけですよ。

「当社は多くの店舗と契約を結び、店舗にコンサルを派遣しています。
 店舗というのは、大手家電量販店や大手スーパーなど様々です。
 あなたにはコンサル、つまり契約店舗で働いてらっしゃる方々の手本となるべく、
 そこで営業をして、商品を率先して売っていただきます。
 つまり、あなたの肩書きは『営業コンサル』ということになります」

……?
………??
…………なんじゃこりゃ~~~!!

もうどこからツッコんでいいものかすらもわかんない!
「企画」はどこに?? 何をもって「営業」?? 「コンサル」の概念って??
それってつまりアレでしょ、イオンの試食販売コーナーとかヤマダ電機で見かける人…。
それは営業コンサルではなく「派遣の販売員」と呼ぶのでは…?

というか、だ。
そもそも「企画営業」を募集しておいて、面接に来た相手に向かって、
「あなたの肩書きは営業コンサルです」って、…クレイジーすぎない?
デザイナーを募集して、面接に来た人に対して、
「当社の仕事は…(中略)…つまり、あなたの肩書きはラーメン屋です」ってのと同じだよ?

いやね、オレだって今までに様々なインチキ求人を見てきたから、
ある程度の悪い予想はして挑んだんだけどね。
いいことばっか書いてるけど、実はああなんじゃないか、こうなんじゃないか、って。
その予想を大きく上回るハチャメチャさ! 降参!

この話、つづく。