唐突ながら、まずはこのインストナンバーをお聴きいただきたいのです。
???
こういうのってどういうジャンルに分類されるんだろうか。ドリーム・ポップ? ネオ・シューゲイザー?
最近のジャンル分けって細分化されすぎて複雑怪奇で全然わからんです。
ま、この曲については後ほど説明するとして。
それはさておき、3776(みななろ)、すごくねーですか?
富士山のご当地アイドルで、その標高から命名された3776。
去年のアルバム発売時にヘビー、とまではいかない、ミドルローテーションはしていたものの、
二週間ほどで飽きちゃって、そこから数ヶ月の冷却期間を置き、
先日改めて聴いて以来、マイ第二次ブームが到来しているのです。
中毒性が高くて仕事中すら耳から離れない! 困る!
3776を聴かない理由があるとすれば
まずこのアルバムタイトルとジャケットが秀逸。
62分56秒(3776秒、つまり1m/秒)で富士山を登頂するという設定も、
アルバム冒頭から「1、2、3…」と毎秒カウントが上がっていき、
最後の「…3774、3775、3776」でアルバムが終わる構成も実に上手い。
3776こと井出ちよのの登山ガイドや富士山雑学に続き、
その場所やトークに沿った曲が始まる流れになっていて、
コンセプトアルバムとして見事と言う他ない。間違いなく傑作。
The Whoの"Tommy"やPink Floydの"The Wall"など有名コンセプトアルバムは数あれど、
当然英語だし、悪い意味での「アーティスティック」な表現に、
そのコンセプトや歌われる内容にまったくピンと来ず、
単純にアルバムとしてしか評価出来なかったオレにとっては、
初めて納得出来たコンセプトアルバム、ということになるのかもしんない。
もちろん曲の完成度も極めて高い。
楽曲の素晴らしさは到底こんな拙文で伝えられるものではないので、
熱いAmazonのレビューに譲るとして、だ。
3776の作曲者がどういった思いで曲を作ってるか知らないので、
ここから後はオレの妄想だと思って聞いていただきたいんですがね。
3776を聴いて改めて感じるのは、
今は「アイドル」という要素を加えることで表現の機会が得られる時代なんだなあ、と。
テクノとアイドルを融合させたPerfume然り、
メタルとアイドルを融合させたBABYMETAL然り、
パンクとメタルを融合させたANTHRAX然り(あ、これは違うか)。
それって決して非難されるようなことじゃなく、
昔からそういった「要素を加えることによって個性を出して売り出す」なんてことは多々あって、
それが吉と出るか凶と出るかはともかく、
時代によって加える要素やジャンルが変わるだけで、
以前はパンクだったりニューウェーブだったりしたのが、
今の時代はアイドルになってるって、それだけの話。
もしオレが今、曲を作って発表したとしてさ、
それが案外いい曲だったとしても、誰の耳にも届かないでしょ。
YouTubeで500~1000Viewいけば御の字。
周囲の友達に「結構いいじゃん」と言われる程度が関の山。
…でも、その曲をアイドルが歌ったとすれば?
ここでようやく冒頭のインスト曲の種明かしをすると、
さっきの曲は3776の「僕だけのハッピーエンド」という
ネット限定シングルに収録されてる同曲のインストバージョンなんだけれど、
単体で聴くととてもアイドルソングとは思えない。
つまりは、この作曲者の持ってるセンスって、決してアイドルソングのそれではないわけで。
でも、この曲にアイドル要素を加えて「アイドルソング」にすることで、
そこでようやく「まず耳にしてもらえる」ってステージに立っている、と。
3776 - 僕だけのハッピーエンド
それって後からアイドル要素を加えたはずなのに、
アイドルソングとして耳にした人からは
むしろ「アイドルなのにこんな曲をやってるんだ」って、ひとつ評価を盛れたりもして。
そこで、この曲を作ってるやつは誰だ、ということで、
ようやく作曲・編曲の石田彰もフィーチャーされる、そんな時代なんだなあと勝手に思った次第。
Perfumeやきゃりーで一躍脚光を浴びた中田ヤスタカのように。
ま、上記は全部オレの勝手な思い込みで、
実際には作者は初めっからアイドルソングを作りたくて試行錯誤した結果で、
「わかったフリして語ってんじゃねえ」って怒られるかもだけど(笑)。
でもやっぱりただの音楽好きで、根っからのアイドルファンではないオレとしては、
曲やコンセプトが好きなんであって、「アイドルとしての3776」は好きになれないんだけれども。
上記の「僕だけのハッピーエンド」、ライブ映像を見ると学芸会チックで相当に厳しい。
客席の最前列に3776ファンの掟ポルシェが映り込んでいるのはご愛嬌。
【PV】僕だけのハッピーエンド - YouTube