2014年11月4日

営業コンサルというお仕事。 【後編】

でね、言葉を失ってる場合じゃないと我に返って、勇気を出して言い返しましたよ。
「あのー、営業の仕事と伺ってたんですが…」
「ああ、営業の仕事もありますよ。そっちがいいですか?」
そっちがいいですか、じゃねーだろ! はじめからそっちだよ!
「様々なお店にソフトバンクのWi-Fiを設置して、お父さんステッカーを貼っていく営業です」
それ…営業? 作業員じゃなくて?
いや、確かにそういう営業の人もいるんだろうけど、なんか違うんだよなあ…。
それが「面白いアイデアで『あっ』と言われる企画を考えるお仕事」?

で、「こっちの方がおすすめですけどね」と話を無理矢理販売に戻され、
また大手家電量販店や大手スーパーで云々の説明が始まったんだけど、
ふと例の事業所のことを思い出したから聞いてみたのね。
「事業所が近所ということもあって応募したんですが、ということは、事業所勤務ではないんですね?」
「えーと? …ああ、あそこ? あの部屋はもうとっくに引き払いました」
ガーン! 堂々とハロワに虚偽の所在地記載! 平然と違法行為!

その中本(仮名)、オレの履歴書をしげしげと眺めてたかと思うと、
「へえ、14年もオークションやってたんですか?」と聞いてくる。
「ええ、まあ」と返すと、「そのノウハウ、当社にほしいですね」とニヤリ。
なんでも、他社との繋がりで「商材」は安価で仕入れることができる環境にはあるものの、
それをネットで売るノウハウがないから、どうしようかと思いあぐねていたところだ、と。
別にオレ、特別なノウハウなんて持ってないんだけど、話は勝手に進んでいって。
「そうだな…それではネット物販部門を作りましょう。あなたが責任者になってください」
初対面のオレがいきなり責任者に…? まだ会って5分も経ってないけど?
「とりあえず当面は営業コンサルと同時進行で進めてみてください」
同時進行って? 8時間ヤマダ電機で働いた後、6時間この部屋で作業、みたいな? 殺す気?
「うーん、これは結構なドル箱部門になるかもしれませんね。一緒に頑張りましょう」
…ジョン・レノンがイマジンで歌った「夢想家」ってこいつのこと?

オレ的にはまったくビジョンが見えないんだけど、
どうも中本には見えてるようなんだよな、勝利の方程式が。

念のため再度書いておくと、オレは履歴書を持参してこの面接に来たわけ。
中本はオレと会って、履歴書を受け取って、読んで、
そこで初めて、オレが今までオークションをやっていた、と知ったわけ。
つまり、このネット物販部門の下りは、全部その場の「思いつき」なんだよな。
この薄っぺらさがすごい。何もかもが適当なの。

でも、まあ確かにその「商材」とやらがオレの想像を超えるすごいものだったら、
中本から湧き出る自信の理由もわからなくもない。
例えば、問屋を通さずバンダイと直取引で、妖怪メダルが卸価格で大量に手に入るとか、
中国の工場からの裏ルートで、MacBookの次期バージョンの試作品を入手できるとか。

「肝心の『商材』なんですが、これは出品さえすれば確実に売れますから。
 というのも、とにかく安く仕入れることが可能なんですよ、独自のルートで。
 だから競合他社より安く出品すれば、もう一人勝ち状態ですよ。
 例えばサードパーティー製のプリンターインクとかね。
 USBメモリやMicroSDカードなんかも安く仕入れられますし、
 今どきのものだと、スマホ用の保護フィルムなんてのもありますしね」

…それ、全部1円で出品されてるよ! 不人気商材大集合!
この商材のどこにドル箱を見いだしたのか…こいつに市場調査という概念は?
ここまで書いてふと思ったんだけど、こいつの言う「独自のルート」って、
もしかして単なる家電量販店のワゴンセールでは? いや、まさか…まさかな…。

「ネット物販部門のライバルはアクセルということになりますね。知ってますよね、アクセル」
「アクセル? いえ、不勉強で申し訳ありません。初耳です」
「知らないんですか? オフィスで使われるこういった事務用品などを扱っている…」
…それ、アスクル! 逆に社会人でアスクルを知らないのはおまえだけ!
つーか、たかだかプリンターインクやUSBメモリ、保護フィルムを扱うだけで、
資本金200億の大企業をライバルだと思える、その根性だけは見上げたもんだが…。

ここで話は「営業コンサル」に戻り、求人票に書かれてた条件の確認へ。
「服装自由」に関しては、店の制服を着るから、ということらしい。
「自由っていったいなんだい?」と歌ったのは尾崎豊だったっけ…。
「土日祝(完全週休二日制)」に関しては、勤務する店による、とのこと。
ヤマダ電機やイオンが土日休みのわけねーだろ!
条件があっけなく次々と反故にされていく…。もう嫌…。

そんな中本が、最後に「営業コンサルの極意」を教えてくれた。
こうすれば勝手に商品は売れるという、本当なら販売職必見の情報だけど…。
「商品に対する知識なんて不要なんです」
むむ、斬新だ。
客に商品説明を求められたらどうするの?という疑問はさておき、斬新だ。
その奇妙な持論に含まれる真意とは?

「もし、あなたがバームクーヘンを売るとしましょう。
 そのバームクーヘン会社の社長の気持ちになれば、
 あなたが実はバームクーヘンが嫌いだとしても…そんなこと言えないですよね。
 むしろそのバームクーヘンの素晴らしさを喧伝して、
 より多くの人に食べてほしいと思うはずでしょう。
 その会社の社長の気持ちになれば、心が熱くなれば、勝手に売れるんです。
 商品の知識なんてなくても構わないんです」

………チンプンカンプン!
いや、言ってる内容の無茶苦茶さ、荒唐無稽さ、
「社長の気持ちになれば売れる」という薄っぺらさを差し引いても、
そもそも…なんだ、その例え?
「もしあなたが飲食店のオーナーで」とかならまだしも、
そこであえてバームクーヘンという、よくわからないキーワード。
これが示すただひとつの答えは…そう。
…オレ、路上でバームクーヘンを売らされる! 街で最近よく見かけるリヤカーのアレ!

もちろん帰宅後、即辞退の電話ですよ。
ま、本当は入室後2分ほどで辞退は決めてたんだけど。
「そうですか、しょうがないですね。ではネット物販部門はどうしますか?」
…やるわきゃねーだろ、バカ!

2014年11月2日

営業コンサルというお仕事。 【前編】

まだまだ続くよ、就職話。

ハロワでの職探しの際、えらい目に遭ったと以前書いたけど、
正社員で企画営業の求人があったのね。
もちろんオレ、企画も営業もやったことないけど、
未経験者歓迎って書いてあるの。
てことは、ははーん、アレですか、と。
またもや新卒~20代希望で、おっさんは除外の、あのパターンですか、と。
でも懲りずに、一応担当者に応募したい旨を告げ、電話で応募の可否を聞いてもらったのね。
「未経験の44歳男性が希望しておられますが応募してもいいですか」って。
ま、無理だよね。いつものターゲットの壁に阻まれるよね。
そしたら向こうの採用担当者は「明日、履歴書を持って面接に来れますか?」なんて言うわけ。
ネット応募以上の超スピード面接!
他の人はこんな経験あんのかね? オレは後にも先にもこれ一回きりだわ。
こっちも早く仕事始めたいから「だ、大丈夫です」なんて答えると、
伝えられた面接場所が、ハロワに登録されてる事業所の所在地と違うのね。
ま、それはよくあることだから了承して、紹介状をもらって帰宅して。

ここでその求人を簡単にまとめておくと、こんな感じ。

<職種>
企画営業

<仕事内容>
あなたには当社が扱っている商材の販売促進案を企画してもらいます。
面白いアイデアで『あっ』と言われる企画を考えるお仕事です。

<事業所所在地>
うちから自転車で10分ほどの場所

<条件>
服装自由

<休日>
土日祝(完全週休二日制)

なかなかの好条件でしょ。
仕事内容はなんだか面白そうだし、通勤も楽々。
何より服装自由ってのがうれしいし、土日祝休みもありがたい。

で、帰宅してから慌てて履歴書を書きつつ、
Googleマップのストリートビューで面接場所の確認をすると、なかなかキナ臭いビルが現れて。
年期が入ったビルの一階には焼鳥屋が入ってて、窓の貼り紙を見るとサラ金業者の入居が目立つ、
犯人の潜伏先として刑事ドラマに出てきそうな、「ザ・雑居ビル」って怪しい雰囲気。

ま、ここで働くわけじゃないから、あくまで面接場所だから、と自分を納得させて、
翌日、スーツに着替えて結構遠い面接場所まで向かったのな。
まずビルに入ると、ストリートビューではわからなかった点が目に付く。
…天井、ひくっ! 圧迫感、すごっ! これ、背伸びしたら頭が天井に届くんじゃないの?
ドアをノックし、「面接に参りました」とドアを開けると…なんだこの部屋は?
部屋、せまっ! 八畳ほどの何もない…本当に何もない部屋!
がらんとした部屋の隅にオフィステーブルが置いてあって、
その上にはPCが一台だけ。他には何もない。書類なんかも一切ない。
そして壁を見ると、これまた何もない。
書類棚やホワイトボード、コピー機のような、本来オフィスに置かれているべきものが何もない。
ただ、床にダンボールが数個転がってるだけ。
つまりね、イメージしてもらえばわかりやすいのは、夜逃げ跡のオフィスね。

そんな部屋にいたのは、唯一置かれたPCを操作してる男の人が一人だけ。
PCを操作、といってもExcelとかじゃなく、ネットをぼーっと眺めてたっぽい感じで。
その人がすくっと立ち上がり、「本日面接をします中本(仮名)です」と。

もうね、この時点で帰りたくてしょうがないですよ。
頭の中では本能が「DANGER!DANGER!」と警報を鳴らしてますよ。

しかし、今回オレが希望してるのは「バイト」じゃなく「就職」なのね。
これまでの生半可な気持ちで面接に来たわけじゃなく、第二の人生を掴みに来たわけよ。
就職への固い決意や覚悟といったものが、後ずさりするオレの足を前へと押し戻すわけよ。
この程度の雰囲気に負けるなと。仕事自体は悪くないかもしれないじゃないかと。
入社してもここで働くわけじゃないし、晴れて事業所勤務になった後は、
「しかしあの面接場所、酷かったですよねー」なんて笑い話になるじゃないかと。

そんなオレの「やる気」を察して、中本が仕事についての説明を始めたわけですよ。

「当社は多くの店舗と契約を結び、店舗にコンサルを派遣しています。
 店舗というのは、大手家電量販店や大手スーパーなど様々です。
 あなたにはコンサル、つまり契約店舗で働いてらっしゃる方々の手本となるべく、
 そこで営業をして、商品を率先して売っていただきます。
 つまり、あなたの肩書きは『営業コンサル』ということになります」

……?
………??
…………なんじゃこりゃ~~~!!

もうどこからツッコんでいいものかすらもわかんない!
「企画」はどこに?? 何をもって「営業」?? 「コンサル」の概念って??
それってつまりアレでしょ、イオンの試食販売コーナーとかヤマダ電機で見かける人…。
それは営業コンサルではなく「派遣の販売員」と呼ぶのでは…?

というか、だ。
そもそも「企画営業」を募集しておいて、面接に来た相手に向かって、
「あなたの肩書きは営業コンサルです」って、…クレイジーすぎない?
デザイナーを募集して、面接に来た人に対して、
「当社の仕事は…(中略)…つまり、あなたの肩書きはラーメン屋です」ってのと同じだよ?

いやね、オレだって今までに様々なインチキ求人を見てきたから、
ある程度の悪い予想はして挑んだんだけどね。
いいことばっか書いてるけど、実はああなんじゃないか、こうなんじゃないか、って。
その予想を大きく上回るハチャメチャさ! 降参!

この話、つづく。

2014年10月27日

セキュリティとバランス。

先日書いたように、44歳にしてついに就職童貞を破ったですよ。
絶対にリーマンになんてなるもんか、と鉄の貞操帯を付けていたこのオレが、
貧乏という性欲に負け、
スーツというコンドームを身に纏い、
企業という膣に向かって突進し、
労働という摩擦を経て、
給料というエクスタシーを得、
所得税という精液を放出し、

…あ、この例え、もういいスか。そうスか。
(この下り、声に出して綾小路きみまろ調に読んでネ☆)

つーかね、派遣社員なんで、いきなり大企業勤務ですわ。
そこでユーザーサポートに就くため、現在研修中の身なんですが、
どうしてあんなにアホなのかね、最近のセキュリティ管理ってやつは。

彼女も先月、勤めていた会社が吸収合併されたところでね、
今まで昔気質の会社でユルく働いてたのに、
いきなり今どきのセキュリティ管理下に置かれて、
会社に入るカードキーの都合上、休日出勤の手続きが面倒だの、
帰宅時にノートPCは引き出しにしまうよう指示をされただの、
アホくさ、という事例を聞かされていたものの、
まさかその翌月、オレも同じ境遇に陥るとは思わなかった。

入社してからずっと研修でね、派遣先の会社が扱ってる商品の勉強をするわけよ。
その研修テキストを「社外秘だから持ち出し禁止」というのは、まあわかる。
で、勉強するわけだからノートにメモ取るでしょ。
そのノートも持ち出し禁止というのも…うん、まだわかる。納得はできないけど。
次に商品に付属する取扱説明書のコピーを配布されて、
商品の使用方法をユーザー目線で学んでたわけ。
このボタンを押せばこんな動作をしますよ、みたいな。
そしたら研修途中に言われたですよ。

「あ、このコピーも持ち出し禁止ですから」

…はぁ !? どういうこと !?
取扱説明書よ? それって商品を買った人ならみんな持ってるものでしょ?
つまり一般的に流通してるものでも持ち出し禁止? しかもコピーなのに? 意味がわからない!

まあ、この研修のトレーナーがバカというよりも、
この人は会社のバカなセキュリティ管理要項に従ってるだけなんだろうけど、
とにかく非核三原則よろしく、持ち帰らせない、勉強させない、育てない、ですよ。
こっちはさ、就職したばかりでやる気スイッチも満充電の状態だから、
帰ってからも復習して、早く知識を身につけたいと真面目に考えてるわけ。
社員の成長。それって会社の利益でしょ。
その利益を捨てて、セキュリティを取る、と。
そりゃね、この情報漏洩が多発している現代社会、
自社のセキュリティに危機意識を持つのは理解できる。
でも、それって資料や情報の重要度によるでしょ?
オレは研修中で、たかだか「その商品の概要」程度のことしか知らされてないわけ。
つーか、そこで知った専門用語をググったら…ネットで普通に出てきたよ!
その程度の知識を拡散されたところで被害なんてないだろうし、
もしオレが企業スパイなら、学んだ内容を口頭で伝えれば充分だしさ。もうすでに遅いっての。
こんなセキュリティ管理、なんの意味があるの?

あのね、すべてはバランスなのね。
入室のセキュリティを万全にしたいなら、鍵を100個付ければいいじゃん。
でも付けないよね。鍵を開けるのに何時間もロスするから。
かといって鍵を付けないのはおかしいよね。それだと泥棒や企業スパイに入られちゃうから。
じゃあ鍵をひとつ付けよう、と。
それだとセキュリティも適度に守られて、利便性も適度に保たれる、と。

本来、セキュリティってそういうバランスで成り立ってたはずが、
どこかのバカが「海外ではこれが常識だ」とばかりに過剰なセキュリティ意識を説き始め、
これまたどこかのバカが「当社も乗り遅れちゃいけない」と追っかけて、
今のようなセキュリティ最重要主義がまかり通ってるわけですよ。
セキュリティ管理のために、利益や利便性を捨てる羽目に陥ってるわけですよ。
彼女の例にしたってそうで、こっちは会社のために休日出勤をしてまで貢献してやろうと言ってるの。
なのに、セキュリティがその邪魔をするって、いったいどうなってんの。

一昔前、それこそカードキーなんてメジャーじゃなかったころは、
出社と帰社のときにしか部屋に鍵なんてかけなかった会社、部署もたくさんあって。
ノートPCや資料、データも持ち出し放題で、うちに帰って仕事の続きをしたり、
繁忙期は会社に無断で友人を連れ込んで、バイトとして手伝わせたりとかね。

振り返ると非常に危機管理意識がない悠長な時代で、
そのころに戻ろうとまでは言わないけど、言ってみれば「セキュリティ意識0時代」だよね。
で、今は「セキュリティ意識100時代」じゃん。
…いやね、オレが昨今のセキュリティ管理をバカだと感じるのはここですよ。
どうして0か100なの? どうしてその間がないの? バカなの? 死ぬの?
利便性と情報流出を天秤にかけりゃ、そりゃ後者の方が重いのはわかるけど、
だからといって利便性を丸ごと捨てるってのはバカのやることでしょ。

これって企業体質だけじゃなく、個人の事例にも見られることで、
砂糖は体に悪いから一切摂らないとか、子供にテレビは一切見せないとか、
癌治療は断固拒否するとか、イスラム教信者は全員危険思想の持ち主だと思っちゃうとか、
極端な悪例を見て、恐怖心からその対極に走っちゃう単純な人な。
オレはこういう二元論的バカたちを「デジタル脳」(0か1しかないから)と呼んで蔑んでんだけど、
そうして自分をがんじがらめにしちゃってるバカって相当数いるよね。

話が逸れた。
オレの場合だと、流出してもまったく問題のない資料に関しては持ち帰っても構わないだろうし、
それってオレが勉強したら会社の利益、情報漏洩してもリスクなんてない、
つまり「利益100、リスク0」のノーリスク・オールリターンな好案件でしょ。
それをも放棄しちゃうってのはなんなんだろうね。やっぱバカとしか思えんですよ。

…こんなことで憤ってるオレは、やっぱり就職するべきではなかったのか?

2014年10月20日

44歳の職探し・まとめ。

さて、結論から言うと職探しには求人情報サイトを使うべきなんだけど、
それは前々回に書いた「雇用均等法云々」前回に書いた「悪徳企業云々」とはまた違った理由なのね。

実は「求人を探す」にあたって、求人情報サイトのメリットってあんまりない。
求人情報サイトだってハロワと同じで、募集対象を女だとか何歳までとか明記できないのな。
そりゃそうだ、一応は雇用均等法に明記されてんだから。
ま、こっちは行政じゃなく民間だから、その辺は大らかな感じで、
画像で女ばかりの職場、もしくは男ばかりの職場ってのをアピールしたり、
過去の採用者の声として「26歳・女性」の声を載せたり、
ハロワよりは若干わかりやすくなってるものの、
それでも雇用均等法のせいで、企業のターゲット層がある程度見えないってのは同じで。

それに求人情報サイトだからって悪徳企業からの求人がないわけじゃない。つーか、かなりある。
個人的にはハロワよりはチェック機構が機能してるとは思うけど(あくまでもハロワよりは、ね)、
そもそもどこからどこまでが悪徳企業かって定義なんてないわけだから、
やっぱり胡散臭い求人やブラック企業の求人だってそれなりにある。
画像や文面からほのぼのとした社風が漂ってくる営業職の求人があって、
ググってみたら光通信の100%出資の子会社だったこともあったっけ(笑)。

というわけで、「求人を探す」という時点ではハロワも求人情報サイトも大して変わんない。
「雇用均等法云々」も「悪徳企業云々」も、ハロワとほとんど一緒なのよな。
ま、ネットを使ってググったり比較したりできるだけ有利かな、ってとこ。
ただ、「求人に応募する」時点で、求人情報サイトのメリットが見えてくる。
この応募に関してもハロワと同じで、誰でも自由に応募できるものの、
企業側が欲する「外側から見えないターゲット層」ってものがある以上は、
性別や年齢だけで不採用なんてことは多々あるわけで。
だったらハロワと一緒? 中年求職者はNO FUTURE?

さて、ここで改めて考えてみる。
もし企業のターゲット層にさえ入れば簡単に面接までいけるのかというと、
それでもやっぱ、なかなか面接には辿り着けないのよな。
そりゃ企業だって100人、200人と面接してる暇はないからさ、
だったら応募の際の経歴を見て、有望なやつだけを面接するわなと。

となると、求人に応募してから面接に至るまで、二つの壁があることに気付く。
まずは「どちらの性別を欲してるのか」「何歳までがオッケーなのか」という、見えないターゲットの壁。
そして、仮に企業が10人と面接するとして、「その10人に入れるか」という面接人数の壁。
もちろん採用までには「その10人の中でトップに立つ」って壁もあるわけだけど、
今回は面接に至るまでの話なので、採用されるかどうかはパス。

ここで手に職があったり経験があったりする人なら強いんだけど、
オレみたいなボンクラがこの二つの高い壁を越えようとするなら、答えはひとつ。
もう「数で勝負する」しかないわけだ。ライク・ザ・レミングス。

十社応募して、一社から面接の誘いが来ればラッキー、みたいな。
で、十社面接に行って、一社から採用をもらえればオッケー、みたいな。
つまりは一社からの採用のために百社応募しろと。それでダメなら二百社応募しろと。

この「数で勝負する」ってのをハロワで実行しようとするとえらいことになる。
履歴書で腱鞘炎確実だし、郵送代だって月に数万円かかっちゃう。
おそらく必死にやって、一日5件が限界じゃなかろうか。
これを何週間も続けると、精神崩壊必至だと思う。オレには絶対無理だ。

求人情報サイトはこの「数で勝負する」作戦に適してる。
というか、その作戦のために求人情報サイトが存在してる、と言っても過言じゃない。
とにかく応募までの手間が圧倒的に少ない。
ハロワのように、履歴書と職務経歴書を書いてから応募、じゃなくて、
応募しまくって、連絡があってから履歴書と職務経歴書を用意すればいいんだから。

まず最初だけは職務経歴や自己PRなんかを打ち込むって手間がかかるものの、
後は前回入力した情報が履歴として残ってるから、
志望理由あたりをちょっと書き換えるだけで応募できる。
実質10〜30分程度で1件、一日30件応募も難しくない。
同じ職種だと志望理由を書き換える必要もないから、
1時間で30件応募なんてことも可能じゃなかろうか。

郵送じゃないから、結果が出るのが早い、ってところも大きい。
ターゲット層に入ってたら「履歴書と職務経歴書送って」と連絡があるし、
そもそもターゲット層に入ってなかった場合はすぐに不採用通知が来るからね。
オレなんて応募した5分後に不採用ってメールが来たことあるもん(笑)。
ま、クールでありシビアであるけど、
ハロワでの「無駄」を考えるとよっぽどいい。少なくとも徒労感はない。

で、応募の際にある程度の経歴や自己PRなんかは連絡済みなわけだから、
「履歴書と職務経歴書送って」と連絡があった場合はほぼ面接まで行けるのな。
中には「履歴書と職務経歴書持ってきて」と、いきなり面接の連絡があったり。
ハロワのように、無駄な履歴書や職務経歴書を書く手間がないし、
一刻も早く採用されたい求職中の身としては、このスピード感もありがたい。

つまりね、前々回に書いた冒険者の話に例えるならば、
当初は「標高2000m級の山を100山紹介」したハロワに対し、
「標高500m級の山を10山紹介してくれ」と考えたものの、
求人情報サイトなら、高さ1mほどの砂山を1000山紹介してくれる、みたいな感じ。
高さ1mなら1000山登っても(というか跨いでも)まったく疲れないでしょ。
そこに徒労感はない。
ま、さすがに1000山登っても宝が見つからないと無力感は感じるかもしれないけど…。

そういうわけで、職歴なしのボンクラ44歳が職探しをするなら、
ハロワじゃなく求人情報サイト一択で、数で勝負するしかない、という結論でありました。

最後に、ハロワでのトホホな話。
ハロワに通ってたころ、これまた怪しい企業の求人があって、
担当者に相談したんだよな、これってどうなんですかね、って。
そしたら「胡散臭いですねー。しかも契約期間を明記してない契約社員でしょ?
これ、いつクビを切られても文句言えないってことですよ。
ま、僕だって来年の更新がなければクビだから、人ごとじゃないんですけどね…」
…てっきり公務員だと思い込んでたおまえも契約社員だったんかい!
なんか媚びへつらって損したわ!

2014年10月19日

ハローワークでヘコむ。 【後編】

次に問題なのは「ハロワに来る求職者層」を狙った詐欺紛いの求人な。
いや、いつの時代も悪事を働く輩が跋扈するのは世の常。
そいつらが悪いのは当然として、
だったらそれを放置するハロワに問題ないのか?という話。

エンジャパンとかはたらいくとかさ、これだけ求人情報サイトがネットに溢れてる中、
わざわざハロワに足を運ぶってのは、はっきり言ってしまうと情報弱者、いわゆる情弱が多いわけよ。
ハロワに行くといるわいるわ、ダメな人が(もちろんちゃんとした人も大勢いるけど)。
求人情報サイトのメリットは次回に述べるとして、
そこをスルーしてハロワを訪れるアナログな人たちがいる、と。
そんなアナログ層を対象に、ハロワに求人広告を出す企業とはどんな企業なのか。

どう考えたって、企業側はネットで求人を掲げた方が効果大きいじゃん。
多くの人の目に付く、応募が簡単だからたくさんの応募がある、
応募が多いってことは、より優秀な人材を確保できる、とか。
そこを使わず、ハロワで求人広告を出す企業ってのは、
掲載費をケチる企業を除くと(求人サイトへの掲載費は結構高いらしい)、
「検索・比較されちゃマズい企業」が多い気がする、オレの見たかぎり。

誤解のないよう書いておくけど、もちろんまともな求人がほとんどなんだよ。
ただ、そこに混じって、まともじゃないように思える求人がそれなりにあって、
その比率の高さが行政機関としてちょっとどうなのよ、と。

ネットでの求人だと、社名をコピペして「評判」とでも書き加えてググれば、
その企業で過去に働いてた人とかの口コミ情報がそれなりに見れるでしょ。
求人情報サイトだと、他社との比較も簡単にできるし。
でも、ハロワの求人検索端末ではそんなことはできないのね。
そこを狙ってくる悪徳企業の求人って本当に多い。

例えば、貿易事務の3年以上経験者、TOEIC700点以上の条件で、月給16万とか。…ハァ?
Objective-Cが使えてPHPにも精通していてIllustratorも使える人、月給20万とか。…アホ?
まさに情報弱者を狙った、どんだけ都合のいい条件なのよ、って募集が結構あったり。

ま、それらのケースは条件・待遇を明記してるだけマシだとも言えて、
本当に酷いのは募集内容と実際の職務内容が全然異なるケース。
例えば、毎日3件の会社訪問をして、社長から話を聞いてくるって経営コンサル会社の求人があったのね。
月収20万+インセンティブ(歩合)で、月収80万も可!だって。
これ、募集では「毎日3件の会社訪問をして」ってルート営業っぽいこと書いてるけど、
こんな会社の下っ端社員にわざわざ会ってくれる社長なんてそうそういないよね。
つまりは見ず知らずの社長とのアポイントを毎日3件取ってこい、
もしくは「おまえの知ってる社長を毎日3人紹介しろ」ってことよな。
そりゃソフトバンクの孫さんやホリエモンが入社したら80万も夢じゃないだろうけど(笑)、
ハロワで職探ししてるような連中が紹介できる社長の知り合いなんて一人いるかいないかでしょ。
案の定、その求人には15人が応募して合格者1人。その1人もすぐに退社してた。
おそらく、アポ取るまで帰ってくんな!的なパワハラはあっただろうなと勝手に想像してみたり。

こんな企業、求人情報サイトなら出禁ものなんだけど、
ハロワが問題なのは、求人数を稼ぐためか、まったく問題視してる様子がないの。
上記の悪徳経営コンサルも、何度にも渡って求人広告を出してるのね。
例えば、求人広告の掲載期間が9/1〜9/30の一ヶ月だとする。
するとこの会社、9/10には求人を取り下げて、またすぐに9/11〜10/10で求人を出す。
さらに9/20に取り下げて、9/21〜10/20で求人を出して…。
もうずっとこんな感じの繰り返し。
理由はそうした方が常にその求人が上の方(求職者がよく見る位置)に来るからだろうけど、
ハロワだって一応、過去のデータは取ってるわけ。
その企業の前々回の求人では20人が受けて全員不採用、
前回は15人が応募して1人だけ採用、でもすぐに退社、みたいな。
それ見たら、どうもおかしいなって気付きそうなものだけど、わかってながらスルーなんだよね。
オレも一度酷い目に遭ったけど、その話はまた別の機会に譲るとして。

ホント、ハロワって求人広告を出してる企業を全然調査してない。
だって良くも悪くも行政機関だもんね。評判なんて関係ないんだもの。
一方、求人情報サイトを運営してるのはもちろん民間企業だから、
下手な求人を出すとサイトの評価、運営企業の評価に関わるので、
それなりに調査して、求職者からのクレームも受け入れてるから、
そこまで無茶をする企業は淘汰されるって仕組みができあがってる。

だったら職探しはハロワじゃなくて求人情報サイトで行うべきなのか?というと、
経験者としてのオレからの答えは「YES」ではあるんだけれど、
それは募集対象年齢が明記されてるからでも、悪徳企業がいないからでもないのね。
じゃあどうしてかっつーと、その話は次回に。