2012年10月9日

赤いナタリー。

五年前にバンコクに遊びに行った際、たいがいな目に遭ったということは以前に書いた。

バンコクにはチャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットという、
土日だけ開催される世界最大規模のフリーマーケットがあってね。
行く度に「一日じゃ回りきれんなあ」と思ってはいたものの、それもそのはず。
調べてみると、その敷地面積は実に甲子園球場の約100倍だとか! すげー。

それだけの広大な敷地が露店で埋まってる様は圧巻で、
そこでは衣料や雑貨、食品はもちろん、家具やペットまでもが売られていたりする。
でも個人的にはいかにもアジアンな雑貨って好みじゃないし、
アジア製の服のセンスってなかなかどうしようもないんで、
オレはそのマーケットに行く度、中古のスニーカーを何足も買って帰ってくんのね。

やっぱアジアだけあって、新品で売られてるスニーカーはほとんどがコピー品なんだけど、
中古に関しては、外国人の貧乏バックパッカーが金に困って売ったりするから、
ちゃんと本物の、日本の古着屋でもなかなか見かけない珍品が転がってたりもして。
いや、実はそれも「コピー品の中古」なのかもしれないんだけど、
ある程度履き古すと、コピー品が持つ「いかにもコピー品な感じ」って消えるでしょ?

ちょっと脱線するけど、オレ基準としては「もしコピーでも、本物と思えればオッケー」なのね。
オレが本物と思って買って、本物と思って履いて、本物のように満足出来れば、それはもう本物じゃん、と。
逆にいくら精巧でも、コピーとわかっちゃったら買いたくない、みたいな。

閑話休題。
ウィークエンド・マーケットにはそういう中古スニーカー専門の露店が何軒もあって、
そこには身長ほどの高さにスニーカーが山積み(本当に山積み!)されてるわけ。
そこで宝探しよろしくゴソゴソと山を漁って、自分好みのスニーカーを探しのが楽しくてさ。
やっぱりナイキやニューバランスなんかはバンコクの金銭価値からすると結構高いんだけど、
それでも日本の古着屋なんかと比べたら3分の1くらいで買えちゃうから、
行くと毎回4、5足まとめ買いして帰るのね。

さて、長い前置きを経て、ここからがようやく本題。
五年前にそこで買ったクラークスのナタリーがありまして。
スニーカーではないけど、その山から掘り起こした逸品。
もともとナタリーは好きだし、コンディションもなかなかいいし、
とにかくこの美しい発色のスウェードにガツンとやられちゃって。
左右の「Wallabees」のロゴの色が違うのもイカす。
赤いスウェードのナタリーって見たことないからコピー品の可能性も捨てきれないものの、
「海外の限定品かも」と、そこは先述したように「本物と思い込んで」自分を納得させてさ。
値段も約4000円と、バンコクにしてはそこそこしたものの、
サイズもピッタリだったし、この出会いは大事にしなきゃと迷わず購入。

でも、なかなか赤いスウェードの靴って履く機会がなくてさ、
ここぞってときに履こうと思って、ずっと大事に取っておいたのね。
で、今年初旬の引っ越しまで、五年間一度も履かずに靴箱に収めたまんまで。
さすがに今後はもうちょっと履きたいな、なんて、
引っ越しの整理をしながら、靴を足に合わせてみたわけ。
・・・あれ、小さい?
纏足でもされてるかのように、つま先がギューっと締め付けられて、
とても履いて出かけることなんて出来ない痛さで。
でも買ったときはジャストサイズだったんだよね。
だから、オレの足って五年でデカくなっちゃったのかな、とか、
スウェードって手入れを欠かすと縮んじゃうのかな、とか、いろいろ考えたんだけど、
よくよく見ると、根本的な欠陥が。
さ、左右のサイズが違う
左は27.0なのに、右は26.0! 買ったとき、左足しか見てなかった! ショック!

おそらく山積みの中で互い違いになってたんだろうなあ。
五年間「とっておき」だったナタリーは、引っ越しの整理中だったこともあり、即処分と相成りました。ギャフン。